なぜ、六歳から十二歳限定かというと、大人になるにつれ、いろいろな情報が入ってきてしまうからだと、当時、施設の大人が言っていた。本当に純粋な時が超能力は開花しやすいのだと。それはもちろん、一つの説でしかないけれども。
ただ、「純粋」という意味の言葉が本作の中で、一つのキーワードのようになっている気がする。増山とその仲間たちは純粋に、自分の超能力を活かして人間社会との共存を目指している。
一方で「最先端の技術開発」のまわりには、それとは反対の、穏やかならぬ気配が漂っている。
事件が解決しても、もわもわっと白い闇が広がるラストに、続編があるのでは? と期待してしまう。
彼らとの本当の戦いが始まった時、勝つのはどちらなのか。
超能力が失われてしまうことも、ありえるのか。
この物語の記憶が消されてしまわないうちに、続きが読みたい。
誉田哲也さんの思念に、暗示をかけたい。