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超能力者でありながら、昭和の香り漂う人間味溢れる登場人物たちが魅力的

超能力者でありながら、昭和の香り漂う人間味溢れる登場人物たちが魅力的

文:小橋 めぐみ (女優)

『増山超能力師大戦争』(誉田 哲也)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『増山超能力師大戦争』(誉田 哲也)

 なぜ、六歳から十二歳限定かというと、大人になるにつれ、いろいろな情報が入ってきてしまうからだと、当時、施設の大人が言っていた。本当に純粋な時が超能力は開花しやすいのだと。それはもちろん、一つの説でしかないけれども。

 ただ、「純粋」という意味の言葉が本作の中で、一つのキーワードのようになっている気がする。増山とその仲間たちは純粋に、自分の超能力を活かして人間社会との共存を目指している。

 一方で「最先端の技術開発」のまわりには、それとは反対の、穏やかならぬ気配が漂っている。

 事件が解決しても、もわもわっと白い闇が広がるラストに、続編があるのでは? と期待してしまう。

 彼らとの本当の戦いが始まった時、勝つのはどちらなのか。

 超能力が失われてしまうことも、ありえるのか。

 この物語の記憶が消されてしまわないうちに、続きが読みたい。

 誉田哲也さんの思念に、暗示をかけたい。

文春文庫
増山超能力師大戦争
誉田哲也

定価:814円(税込)発売日:2020年06月09日

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