編集者の没に苦しむ日々
実は前年に投稿した作品の方が出来がいいような気がしていたので、最終選考に残ったという連絡をもらった時には、びっくりしました。受賞のお知らせは予め選考会の日を教えてもらっていたので、もちろん嬉しかったですけれど、これで就職活動はできなくなったな、と(笑)。とりあえず、自分の本が一冊出せるまで次は頑張ることにしたものの、その次の短篇はなかなか誌面に載せてもらえませんでした。いま考えれば、非常にいい意味で鍛えてもらったんですけれど、編集者の没も多かったので本当に苦しかったです。
ようやく二作目の「愚息の孝、惨母の愛」が掲載された時には、受賞から一年以上が過ぎていました。それまでは担当編集に単行本に向けた提案をされても、雑誌にも載せてもらえないのに果たしてデビューが実現するのだろうか――プロットもなかなかできなかったのですが、二作目の掲載で急にやる気が満ちてきて、宇喜多直家を描く小説のラストの場面が浮かび上がってきたんです。
それまでプロットは編集に見せずに、いきなり完成形を提出していました。オチのわかっているものを読ませると、編集者を退屈させてしまうだろうと思って。けど、さすがに相手もプロですからそんなはずはない。そこで初めて最後に描きたい場面に間違いなく落とし込めるように、詳細なプロットをまず提出してから、続きの短篇を書きはじめました。そうすれば最初に編集者の意見もたくさん聞けるし、どこを直したらいいかポイントもわかる。このやり方が分かるようになってから、格段に作品が没になる確率も減りました。
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