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編集部員が本音で語った! 第101回 オール讀物新人賞への道

編集部員が本音で語った! 第101回 オール讀物新人賞への道

文:「オール讀物」編集部


ジャンル : #歴史・時代小説

6月20日に応募締切を控えた第101回オール讀物新人賞。歴史時代小説ジャンルに特化した新人賞にリニューアルした理由や、新人賞受賞に近づくヒントとは――。「オール讀物」編集部員が本音で様々な観点から新人賞について語ります。

(長=編集長/山=文庫編集部を経て昨年より編集部/西=「週刊文春」から5年ぶりに編集部復帰) 


実は「歴史時代小説」の定義はとても広い!

西 どうして今年から歴史時代小説に特化するリニューアルを行ったんですか?

 元々、オール讀物新人賞は、第1回受賞の南條範夫さん(1953年)にはじまり、藤沢周平さん(第38回、1971年)、ごく最近では佐藤巖太郎さん(第91回、2011年)の『会津執権の栄誉』、木下昌輝さん(第92回、2012年)の『宇喜多の捨て嫁』のデビュー作品がいきなり直木賞候補に挙がるなど、歴史時代小説の素晴らしい書き手を連綿と輩出しているんです。

 かつてオール讀物推理小説新人賞でデビューされた宮部みゆきさん(第26回、1987年)や門井慶喜さん(第42回、2003年)も、現在は歴史時代小説を書かれてますもんね。

 逢坂剛さんや佐々木譲さんもそうですね。さらに新人賞は受賞することがゴールじゃなくて、そこから一冊の本になって、多くの人の手に届くことを目標にしてほしいんです。時代小説は連作短編としてのスタイルがあるし、歴史小説なら時代を縦に紡いだり、同時代に活躍した他の人物にスポットを当てるなど、一冊の本にするまでの道筋が見えやすいということもあって、今回からリニューアルを決心しました。

西 歴史時代小説というのは、どこまでが範囲なんでしょう? たとえば「直木賞候補になった坂上泉さん(第26回松本清張賞を受賞、2019年デビュー)の『インビジブル』は第二次世界大戦が終わってしばらくしたころの大阪の警察を描いた作品ですが、これも歴史小説になるんですか?

『インビジブル』(坂上 泉)

 もちろん、近現代史を扱った小説ももはや歴史小説だと思います。同じ松本清張賞の出身の川越宗一さん(第25回、2018年デビュー)の直木賞受賞作『熱源』も、明治期から第二次世界大戦の終戦までを描いた素晴らしい作品です。さらに架空の設定や海外ものも大歓迎です。“歴史時代小説”と銘打っているけれど、あまり堅苦しく考えないでほしいですね。

『熱源』(川越 宗一)

 異世界物が流行ってますけど、どこかの時代に転生したとか、宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』のようなタイムスリップものも応募可能ってことですよね。

 その通り。たとえば今回新たに選考委員に加わった畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズは江戸を描いた時代小説であると同時に、妖怪が登場するというファンタジー小説でもあります。こういったジャンルの作品もどんどん応募してほしいと考え、畠中さんに選考委員をお願いしたんです。

 最近は深緑野分さんや須賀しのぶさんなど、海外の歴史を書く女性作家の方も多いですよね。歴史時代という字面だけで狭く考えず、発想次第で色々なことにチャレンジしてほしいです。

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