――それだけ阿部さんの熱心なファンの方が、たくさんいらっしゃるということですよね。「コミックDAYS」で連載されていた『烏に単は似合わない』のコミックは6月に4巻目で完結しました。現在は『イブニング』で『烏は主を選ばない』が連載中です。漫画家の松崎夏未さんはもともと阿部さんのファンでいらっしゃったそうで。
八咫烏シリーズは、絶対にコミカライズしてほしいなと思っていたのですが、そのぶん私はとてもこだわりが強くて、「この人だ!」って決め手がなければお願いするのはやめようと思っていました。いろいろなお声がけもいただいていたのですが、なかなか決めきれず、編集さんたちからは「本当はコミカライズやる気ないんじゃないか?」とすごく心配されて(笑)。でもある時に、講談社さんから企画書をいただいて、それが非常によくできていたんです。そこから話が進んでいき、漫画家さんの候補のなかに松崎さんがいらっしゃいました。実はその時点で、私は松崎さんのことを存じ上げていたんですよ。コミカライズの話をいただくずっと前なんですけども、ある方に「ブログで八咫烏のすごい絵を上げている人がいるよ」と教えていただいて、見てみたら『烏に単は似合わない』の四姫の絵が上がっていて、それが私の頭のなかのイメージと本当にぴったりだったんです。ただ、当時松崎さんは趣味で絵を描いていらしたので、まだ漫画家ではなくて、「将来、こういう絵の人にコミカライズしていただけたらいいな」と思っていました。そうしたら、まさかの松崎さんが漫画家デビューなさり、八咫烏のコミカライズの候補として再会したんですね。こんなことあるんだなと。松崎さんはたぶん私より読みこんでいると思いますよ。世界観が私のイメージ通りなんです。こちらが指摘するような間違いもほぼないし、解釈も合っていて。本当に私は幸運だなあと思って、今に至っております。
――八咫烏シリーズの外伝、『烏百花 蛍の章』も文庫になりますね。
短編に関してはするっと書くことができました。楽しいですし、時間もかからなかったです。これは『オール讀物』に掲載していましたが、すでに読んでいただいている方でも、『楽園の烏』を読んだあとにもう一度楽しめるのではないかと思います。
――第2部は、第1部同様、何冊か出すご予定ですか?
構想はあるけれども、様子を見つつっていう感じですかね。どこまで書き切るかはやってみないとわからないので。一応見通しだけを持ちつつ、今は考え中という感じです。
――最後にファンの皆様に向けて、お願いいたします。
出るよと言っていた本がこんなに遅くなっちゃって本当にごめんなさい!
でもその分お届けするのに、いい形になったかなというふうに思うので、『楽園の烏』、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
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