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歴史小説はこんなに面白い! 前編

歴史小説はこんなに面白い! 前編

聞き手:「オール讀物」編集部

天野純希×今村翔吾×川越宗一×木下昌輝×澤田瞳子×武川佑×谷津矢車

出典 : #オール讀物
ジャンル : #歴史・時代小説

新人賞に応募していた時は自由に書けた

 武川 私は木下さんと同じく短篇の賞でデビューしたので、長編は体力的にも大変だと少し尻込みしちゃいます。この座談会は作家志望の人も読まれると思うんですけど、そういう方にはまず短篇を書いてみることをおススメしたいです。まずは短い話でも完結させるというのは当たり前だけど、大事なことで。

武川佑 たけかわゆう
1981年神奈川県生まれ。2016年「鬼惑い」で「決戦!小説大賞」奨励賞を受賞。2017年『虎の牙』でデビュー。著書に『落梅の賦』など。

 天野 逆に僕なんかは、デビュー作でも四百枚くらいあったように、すぐに長くなってしまう。そういう人は書きたいことを全部書かないように、頭の中で削って書いたほうがいいでしょうね。

 今村 天野さんはなんで、小説すばる新人賞に投稿したん? 歴史小説であの賞を受賞するのは大変でしょ。僕も小説すばる新人賞に応募しましたけど落ちました。

 天野 僕は小説すばる新人賞か、ポプラ社の賞で迷ったんです。両方とも賞金が高いから(笑)。

 今村 なんやそれ(笑)。でも、小説すばる新人賞を受賞すると、作家として生き残ることができる確率が高いって都市伝説は流れてるよね。

 天野 いや、そういうことも調べず応募しました。賞金と、選考委員の北方謙三さんに読んでもらえるって点が大きくて。

 今村 へぇ~。川越さんは最初から松本清張賞に応募したんですか?

 川越 はい。なんとか二回目で受賞しました。僕も賞金の高さはちょっと考えてましたね(笑)。

 今村 松本清張賞はプロも応募できる賞やから難しそうって考えてましたね。僕は比較的、受賞できそうな新人賞に応募しようって考えてた気がする(笑)。

 天野 そもそも、我々みたいに歴史小説でデビューしちゃうと、歴史小説以外を書きづらくなってますよね。僕はデビュー二作目、現代音楽ものをやりたいと言ったんだけど、まったく書かせてもらえなかった。

 今村 そうなんですか? やっぱり歴史小説家と呼ばれてしまうと、歴史小説から離れにくくなるんかなあ。

 天野 デビュー作が歴史音楽小説だったんで、現代音楽もありだろうと思ったんですけど(笑)。

 今村 もし現代ものを書くとすれば、ペンネームを変えて、もう一回新人賞に応募したほうがいいのかも(笑)。

 澤田 プロフィールを提出しなければいけないからバレるんじゃない?

 武川 電話番号も普段と違う番号を用意しなければいけないでしょうね。電話するときに「あれ、今村翔吾さんの電話番号と同じじゃない?」ってバレそう。

 今村 まあ、クリアーしなきゃいけないことは色々あるだろうけど、やってみたい気持ちはありますね。思い返すと、新人賞に応募してたときが一番楽しかったんじゃないかという思いもあって。

 谷津 一番自由にものが書けた時期ですよね。

谷津矢車 やつやぐるま
1986年東京都生まれ。2012年「蒲生の記」で歴史群像大賞優秀賞受賞。18年『おもちゃ絵芳藤』で歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。

 今村 一回、今日参加したメンバー、全員うまいこと別のプロフィール作って、現代ものか、純文学で新人賞に応募してみない?(笑) 全員で一回新しいジャンルに挑戦してみる。「イェーイ! 俺二次まで残ったぞ。えっ、一次で落ちたん?」とか言い合って。

 木下 僕は現代もので新人賞に応募したことがあるので、やるなら純文学がいいですね(笑)。

 今村 やろうや。ちょっと落ち着いたら、決戦・関ヶ原の日を決めよう!(笑)


※この大座談会に参加した7名の歴史作家が勧める、(1)初心者にお勧めの短篇、(2)ビジネスに役立つ歴史小説、(3)自身が偏愛してきた作品について、文庫を中心に販売する歴史時代小説フェアが、12月25日から八重洲ブックセンター本店で、1月中旬から丸善ラゾーナ川崎店紀伊國屋新宿本店で行われます。

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オール讀物編集部

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