二〇二〇年、コロナ禍の危機感の中、身心が警戒態勢をとり、胸椎11番がオンになりっぱなしになりました。同時に骨盤底部もギュッとちぢみました。つまり胸椎11番と骨盤を基点にして全身で頑張っているわけです。本書第2章と第5章で紹介した血海穴が、頑張る骨盤を支え、その弾力を保つべく、大変活発化しました。手で触れると、どんどん熱いくらいになる状態が続いています。
血海の高い反応はコロナ禍のしばらく前からずっと続いています。環境変動(地殻変動・気候変動・環境破壊)、そこから生まれる新型コロナウイルス感染症のパンデミックなどの社会の激動に対する、腹の底からの身構えの賦活点になっていると思われます。コロナ禍を生き抜く身心のバネもここから生まれているように見えます。
身心の危機的環境にあっても、一体になってはたらく血海と骨盤、健気で頼もしいです。
女性の身心は月経周期や妊娠出産、年齢に伴うホルモンの波に翻弄されて不安定になったりも、うまく波に乗って気分良く過ごせたりもします。骨盤はその波とともにゆるんだり、ちぢんだり、一生動き続けるわけです。骨盤(=腹の底)から喜びや悲しみが湧き上がり、あらゆる物語が生まれる、骨盤が主役の“女の一生”というのが本書の位置づけです。成長、成熟、老化、その中にある身体の変化の短い波・長い波に乗る、骨盤の物語です。
アンチエイジングなんてクソ喰らえ! ――本書の太っ腹メッセージです。
エイジング=「寄る年波」は逆らうべきものでなく、乗るものです。例えていえば、骨盤はサーフボードです。誰もが更年期の荒波に乗る“骨盤サーファー”です。波に乗り、時には“ワイプアウト”しつつ、身心は磨かれていきます。
骨盤がほんとうに“花開く”のは、性ホルモンの変動から解放される“ポスト更年期”です。骨盤の清々とした“自由”が訪れます。
コロナ禍の環境の中、下腹を温め、“骨盤の気合”を生み出すツボ=血海は、今現在、10月になっても大活躍しています。健気な“太っ腹”と骨盤、あらためて讃えたいです。
文庫化にあたっては文藝春秋の児玉藍さんに大変お世話になりました。ありがとうございました。
二〇二〇年一〇月
片山洋次郎
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『皇后は闘うことにした』林真理子・著
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