戦争のない世の中を目指すためにも、過去の過ちに目をつぶってはいけない。

文春文庫に刻まれてきた数々の貴重な記憶


「夏の戦争フェア」より

安野光雅 『絵のある自伝』

『絵のある自伝』 (安野 光雅)

『旅の絵本』『ふしぎなえ』『ABCの本』などが世界中で愛されている画家の、初の自伝。

「自伝のようなものは書くまい」と思っていたが、日本経済新聞の「私の履歴書」欄に原稿を寄せるうちに「記憶のトビラがつぎつぎに開いた」、と大改稿大幅加筆。人情味のある豪傑な義兄、小学校で隣の席だった女の子、朝鮮人の友人、両親、弟……昭和を生きた著者が出会い、別れていった有名無名の人々との思い出をユーモア溢れる文章と柔らかな水彩画で綴る。

「わたしも、冗談が多すぎた。でもまだ空想癖はやまない。しかしこの本に書いたことはみな本当のことで、さしさわりのあることは書かなかっただけである」とは著者の弁だが、炭鉱務め、兵役、教員時代など知られざる一面も。

50点以上描き下ろした絵が、心温まる追憶は時代の空気を浮かび上がらせ、読む者の胸に迫る。楽しく懐かしい、御伽話のような本当のお話。


辺見じゅん『収容所から来た遺書』

『収容所から来た遺書』(辺見 じゅん)

戦後十二年目にシベリア帰還者から遺族に届いた六通の遺書。その背後に驚くべき事実が隠されていた! 大宅賞と講談社ノンフィクション賞のダブル受賞に輝いた感動の書。

今冬には「ラーゲリより愛を込めて」として映画公開も決定。主演は「硫黄島からの手紙」の二宮和也。


向田邦子 『あ・うん』

『あ・うん』(向田 邦子)

著者がもっとも愛着を抱いた唯一の長篇小説。

神社の鳥居の狛犬のように親密な男の友情と、親友の妻への密かな思慕を、太平洋戦争をひかえた世相を背景にあざやかに描いた長篇。


吉村昭 『深海の使者』

『深海の使者』(吉村 昭)

太平洋戦争が勃発して間もない昭和17年4月22日未明、一隻の大型潜水艦がひそかにマレー半島のペナンを出港した。3万キロも彼方のドイツをめざして……。大戦中、杜絶した日独両国を結ぶ連絡路を求めて、連合国の封鎖下にあった大西洋に、数次にわたって潜入した日本潜水艦の決死の苦闘を描いた力作長篇!

文藝春秋読者賞を受賞。解説・半藤一利

文春文庫 「夏の戦争フェア」対象本

収容所から来た遺書
ノモンハンの夏
閉された言語空間
あ・うん〈新装版〉
深海の使者〈新装版〉
小さいおうち
大本営参謀の情報戦記
ある小さなスズメの記録
あの戦争と日本人
日本のいちばん長い日 決定版
一下級将校の見た帝国陸軍
殉死〈新装版〉
インパール〈新装版〉
昭和天皇独白録
遠い接近
本当の戦争の話をしよう
蚤と爆弾〈新装版〉
絵のある自伝
原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年
殉国〈新装版〉 陸軍二等兵比嘉真一


この他話題の本やフェア情報、文庫解説が読める文春文庫のサイトはこちら