
来たる2022年10月5日には文庫版『楽園の烏』が、10月7日には書き下ろし長編『烏の緑羽』が発売となります。
すでに表紙が公開となっているのでお察しになっている方もいらっしゃるかと思いますが、『烏の緑羽』は長束の周辺の烏達を取り上げたものになります。

以前から、「長束陣営はいつか書きたい」とはさんざん言っておりました。それを言っていた当時は外伝や連作短編をイメージしており、一度は連載形式でやってみようという話もあったのですが、結果としてシリーズ本編の書き下ろし長編という形になったのには、いくつか理由があります。
まず、エピソードが膨らみ過ぎて、短編としておさまらなくなってしまった。
私は「最初に思い浮かんだシーンをうまく組み合わせて物語にする」という書き方をしているのですが、今回、第1章で書いたシーンを有効に使うには少なくとも中編以上の紙幅が必要だろうな、というのは前々からうっすら分かっていました。なんとか短く出来ないもんかしらと考えていたのですが、アレコレこねくり回しているうちに、長束周辺の烏達のエピソードを組み合わせると長編として(個人的に)好ましい構成になることに気付いてしまいました。その構成が思いついちゃった時点で、「短編で発表」というのは私の中でなしになりました。
また、出来上がったプロットを見直してみると、『烏の緑羽』で扱おうと思っていたモチーフが本編のテーマにも深く関わっていることは明らかであり、外伝と称するのも難しくなってしまったのです。
八咫烏シリーズ第2部は、第1部最終巻から20年後の世界である『楽園の烏』へと飛んだあとに、時間軸を再び過去の『追憶の烏』に戻すという、大変分かりにくい構成をしています。この上再び時間軸を過去にずらす『烏の緑羽』に続けるのか……と悩ましくはあったのですが、テーマ的にも今後の展開的にもここで語っておく必要がある内容だし、まあ『楽園の烏』→『追憶の烏』という流れをすでにやっちまった後なので「今更だな!」と開き直ることにいたしました。
以前のコラムで「シリーズの立ち位置としては『玉依姫』に近くなっちゃった」というのは、そういうことです。『玉依姫』と『弥栄の烏』の関係のように、時間軸や構成的には、『烏の緑羽』は『追憶の烏』の対になる形になっています。
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『猪牙の娘 柳橋の桜(一)』佐伯泰英・著
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