- 2005.08.20
- インタビュー・対談
東野圭吾インタビュー 正統派ミステリーとしては僕の最高傑作です
「本の話」編集部
『容疑者Xの献身』 (東野圭吾 著)
出典 : #本の話
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
東野版『シラノ・ド・ベルジュラック』
──本当に好きでないとやってられないですよね(笑)。
その数学者が、弁当屋に勤めるアパートの隣人の花岡靖子に恋をするわけです。思いがけなく靖子が前夫を殺害してしまったことを知り、彼女を手助けしようとする。最初に『シラノ・ド・ベルジュラック』みたいなものを書きたいとおっしゃっていて。
東野 やっぱり多くの男って、あ、この恋は伝わらないなと思ったときに、それでも相手の女性に好きな男がいるなり、幸せになる道が自分に関係ないところにあるとしたら、自分が犠牲になってでも叶えてやりたいという、お人好しなところがあるんですよね。
──男性全般がですか。東野さんがそうだというわけじゃなくて。
東野 いや、みんなそうですよ。そういう気持ちは多少はありますよ。石神のレベルまでできるかどうかはわからないですけど。単なる騎士道精神じゃなくて、男が遺伝子として持っている部分じゃないかと思います。だっていろいろな生物を見ても、動物を見ても、オスは自分が犠牲になってでも子孫を残そうとする習性があるじゃないですか。だから人間の中にもその遺伝子が残っていると思うんですよね。
──今回は、犯人が数学者で『シラノ――』的恋愛をするという構想で書き出されたわけですが、それ以外の部分はかなりお書きになるうちに出てきたキャラクターや、流れがあったのでしょうか。
東野 書いているうちにけっこう勝手に流れていってくれたところがありましたね。その典型が、靖子がクラブ勤めをしていた頃の知り合いである工藤という人物です。彼は書いているうちに、突然現れたんですよね。狙っていたんじゃないんですよ。靖子が勤める弁当屋に勝手に来ちゃったんですよね(笑)。
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