夫と、5人の男。35歳の女性が出会う“生と性”
『ダブル・ファンタジー』 (村山由佳 著)
田舎で同居し、自身のマネージャーを務める夫の抑圧に苦しむ35歳の脚本家・奈津。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、年上の敬愛する演出家との情事を機に自らの女としての人生に目覚めていきます。
大胆な性描写を織り交ぜ、束縛から解き放たれた女性が初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描ききった迫力の長篇。中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞した野心的挑戦作です。
■インタビュー・対談(本の話WEB 2008.12.20)
自分の殻を破るために
■特設サイト(本の話WEB)
『W/F ダブル・ファンタジー』特設サイト
官能小説のエロス、ミステリー小説の謎解き、それぞれの興奮
『相互確証破壊』 (石持浅海 著)
デビュー10年を超えた著者の手練れの技があちこちに仕掛けられた短編集です。その特徴は、「前戯からはじまる伏線、絶頂でひらめく名推理。」という帯コピーからも察せられるように、官能とミステリーが絡み合う構成にあります。
自分たちの逢瀬の録画データを共有することで、各々の家庭を守ろうとするダブル不倫カップル――全6話のうち、表題作を含む3話で不倫関係の男女が登場。官能小説、推理小説の両面から楽しめます。
■インタビュー・対談(本の話WEB 2014.08.06)
対談 石持浅海×水谷奏音 1度目は熱い官能小説として、2度目は怜悧な本格推理として再読を愉しめる『相互確証破壊』
恋人と不倫相手、そして男ともだち
『男ともだち』 (千早茜 著)
主人公は京都在住イラストレーター・神名葵(29歳)。仕事は軌道に乗ってきたが、その分手ごたえを感じられなくなっていた頃、学生時代の先輩であるハセオから7年ぶりに連絡があり、再会します。彼は、互いに恋人がいてもなぜかいつも一緒にいて、理解しあう必要もないほどしっくりくる“男ともだち”。
関係の冷めてきた恋人と同棲しながら、既婚者で医者の愛人と時々逢い引き――男たちを翻弄する神名の、恋でも欲望でもない関係を鮮やかに描出します。
■インタビュー・対談(本の話WEB 2014.06.11)
書店員A嬢←→著者 変則往復書簡
■インタビュー・対談(本の話WEB 2014.06.11)
著者 × 書店員トリオ ネタバレ座談会
不倫から始まった愛――監督と女優、壮絶な半世紀
『愛妻記』 (新藤兼人 著)
数々の代表作を持つ映画監督・脚本家の新藤兼人さんと、女優の乙羽信子さんが『愛妻物語』の撮影で出会ったとき、新藤さんには妻子がありました。不倫関係となって27年、結婚して16年の後、乙羽さんに肝臓がんが見つかり、1年から1年半という余命宣告。壮絶な最期の日々を、新藤さん自身が綴ったのが本書です。
初刊は、乙羽さんが肝臓がんにより亡くなった翌年の1995年で、新藤さんが100歳で亡くなった2012年に文春文庫として刊行。半世紀に及ぶ愛と葛藤が描かれます。
■書評(本の話WEB 2012.08.22)
監督と女優、濃厚な愛の軌跡(文:温水ゆかり|ライター)
売れっ子美人作家が語る絶筆の理由、壮絶な半生
『新月譚』 (貫井徳郎 著)
美貌のベストセラー作家・咲良怜花は、なぜ突然絶筆したのか? 再デビューを依頼するために若手編集者が彼女のもとを訪ね、怜花が自らの半生を語り出すシーンから物語が始まります。
デビューから絶筆まで、怜花の創作活動に大きく関係していたのは、かつて勤めていた小さな貿易会社の社長・木之内徹という男性。運命的な出会いから2人はやがて深い関係になるも、女性関係に奔放な木之内は彼女のことを何度も裏切り、別の女性と結婚――それでも彼から離れられず、日陰の道を歩もうと決意する怜花。ラストの衝撃の展開まで目が離せません。
■解説(本の話WEB 2015.06.12)
貫井徳郎の果敢な挑戦(文:内田俊明|書店員・八重洲ブックセンター勤務)
■自著を語る(本の話WEB 2012.05.09)
絶筆した美人作家の壮絶な人生
■インタビュー・対談(本の話WEB 2012.04.12)
主人公の“蛇口”になって書いた物語
妻が死んでも泣けなかった“ゲス”な男が築く、新たな関係
『永い言い訳』 (西川美和 著)
突然、不慮の事故で妻を亡くした人気作家の津村啓こと衣笠幸夫。夫婦関係は冷めており、悲報を受けたときは自宅に愛人を連れ込んでいたというゲスっぷりです。妻の死を前にして泣けない彼は、世間に対して悲劇の主人公を装います。そんなある日、同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会い、母を亡くした子どもたちと交流を持つようになります。
予期せず家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか――。人を愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった物語です。
■インタビュー・対談(本の話WEB 2015.07.13)
突然の別れがもたらす波紋
■1分書評(本の話WEB 2015.07.30)
居場所が無いという事は悲しくて辛い(文:尾崎世界観)
■特集(本の話WEB 2015.06.24)
第153回直木賞候補作(抄録) 西川美和『永い言い訳』(文藝春秋)
“ゲス不倫”生みの親「週刊文春」記者のお仕事の中身
『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』 (中村竜太郎 著)
今年の流行語大賞トップテン入りを果たした“ゲス不倫”の生みの親である「週刊文春」。20年に渡り記者として最前線で活躍した中村さんが、その知られざる舞台裏を赤裸々に明かします。
事件やマスコミの裏側を描くノンフィクションというと、秘話や意外な事実を期待されると思います。本書ももちろんそういう魅力がありますが、加えてこれほど週刊誌の記事が出来上がるまでを詳細に描いた作品はないと思います。情報のとり方、裏付け取材の仕方、部内での打ち合わせ、記事を書くときの苦労など、まさにこれこそが「週刊誌の現場」です。
■インタビュー・対談(本の話WEB 2016.10.03)
スクープの積み重ねがつくった週刊文春
【2016年映像化】夫への不満から不倫、離婚。行き着く先は?
『不機嫌な果実』 (林真理子 著)
結婚6年目の夫に不満を抱き、昔の恋人・野村と不倫の逢瀬を重ねる32歳のヒロイン・水越麻也子。野村に若い愛人がいることが分かっても関係は続いていましたが、ふとしたきっかけで知り合った歳下の音楽評論家・通彦との恋愛で、麻也子は大きな決断を迫られることに……。
「不倫」という男女の愛情の虚実を醒めた視点で描き、一大社会現象を巻き起こした恋愛小説の最高峰。年明けからの不倫スクープラッシュの中、4月に栗山千明さん主演で20年ぶりにドラマ化され、再び話題となっています。
【2016年映像化】親友の妻との恋愛が、詩人に言葉を与えた
『荒地の恋』 (ねじめ正一 著)
詩神と酒神に愛された詩人・田村隆一。田村を完全に手に入れられず苦しむ4度目の妻・明子。前妻と息子を海の事故で亡くし、今の家族との幸せを自分の身にあまると思っていたはずの詩人・北村太郎が、明子と恋に落ちたことで、彼らの地獄が始まりました。北村は家庭も職場も捨てることになるのですが、それからは次々と詩が湧き出し――。
愛し合い、傷つけあってなお離れがたい詩人たちの群像を、直木賞作家が敬愛をこめて描き出しました。今年、豊川悦司さん主演でWOWOWにてドラマ化され、再び注目を浴びる力作長篇小説です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
人が生きていく上で、性に関する事柄は切り離せないもの。明日は、不倫から少しジャンルを広げ、“エロス”をテーマに様々な書籍・記事をご紹介します!
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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