本は面白くてためになるものが良い。しかし、この2つの条件を満たす本は、きわめて少ない。本書は、稀にみる例外だ。楽しみながら教養を高めることができる。
教養が高まることの効用は大きい。本書にある絵が、(「東方三博士の礼拝」のように)稀に日本で展示されることもある。そんなチャンスがあったら本書で勉強し、ガールフレンド(またはボーイフレンド)と見に行こう。尊敬されること、請け合いだ。
あるいは、雲の切れ間から漏れた光線が放射状に地上に降り注ぐ光景を見たら、「あれは天使の梯子だよ」と言って、その名の由来を説明しよう(説明は、「颯爽たる脇役」にある)。相手は感激するだろう。
ある時期までのヨーロッパの絵画は、聖書を題材にとったものがほとんどだ。したがって聖書を知らないと、何のことかさっぱりわからない。マリアに抱かれた幼児イエスや磔刑の場面は分かるが、それ以外のものとなると、お手上げだ。
キリスト教徒にとっては(あるいは画集を編纂する美術史家にとっては)、当然のことを、普通の日本人は知らないのだ。それらについて、本書は懇切丁寧に説明してくれる。長年の疑問が氷解して、謎解きの快感を味わうことができる。
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