――石原さんは、長寿地域で有名なコーカサス地方へ何度も行かれていますね。
石原 五回、行っています。コーカサスで百歳を越えたおじいさんに「長生きの秘訣は何ですか」と尋ねると、「とにかく一日中働くことだ」と言う。さらには「結婚式や友達の家へ行って、毎日、飲んだり踊ったりすることだ」と。そして「三番目は何ですか」ときくと、「シカやウサギを狩りに行くこと」と答えが返ってきました。
――すべて脚の筋肉が鍛えられるものばかりですね。
石原 ええ。よく働く、よく踊る、走る、その習慣があれだけの長寿と健康をつくり出しているのです。そして食生活も理想的です。コーカサス地方はカスピ海ヨーグルト発祥の地だし、リンゴ・サクランボ・ブドウの原産地です。
――こんどの本で言うところの、体を温める「赤い食べ物」ばかりですね。
石原 そうです。白い物より赤い物、が私の方針です。
――コーカサスへ行ったきっかけは何ですか。
石原 当時東京歯科大学助教授だった森下敬一先生の研究でした。血液生理学、腸の生理学の第一人者で、四十年も前から、「ガンは血液の汚れによって発症する。血液は骨髄ではなく腸でできる」と言った方です。当時は、常軌を逸しているとしか評価されなかった……。
森下先生は自然医学研究のパイオニアでもあって、よくアメリカ自然食ツアーをされていたんです。昭和五十二年にそのツアーに参加して、ジュースを飲んで健康になるという“ジュースの処方箋”が載った本にであいました。本には、全世界から難病、奇病患者が集まってくるスイスのベンナー病院が紹介されていて、「肉・卵・牛乳はいっさい摂らず動物性食品はヨーグルトだけ。あとは黒パン・ジャガイモ・ナッツ・生野菜・果物・漬物・岩塩・蜂蜜、それから、必ず朝はニンジンジュースを飲む。これだけで病気を治す」と書いてあった。驚いてすぐに手紙を出しました。正確な住所がわからなかったけれど、病院宛にイチかバチかで送ったら、「こちらへいらっしゃい」と返事が来た。以来、コーカサス地方には短いときで一カ月、長いときは三カ月間行って研究しました。
――それにしてもコーカサスの長寿伝説は、超人的ですね。
石原 そうそう。友人の学者にきいた情報では、最近百八歳のおじいさんが、七十二歳年下の三十六歳の女性と結婚したんだそうです。
――ええーっ。すごいですね。
石原 そんなに驚くことじゃない。細胞の寿命に関するさまざまな研究をみると、どれも人間の寿命は百二十年というのが相場です。体がきちんと機能すれば、人間という生き物は、百二十歳くらいまで生きられるようにできているんですよ。
日本政府が百歳以上人口の統計をはじめてとったのは昭和三十八年で、百五十三人でした。以来、どんどん増えて、四十二年経ったいまでは二万五千人。私が百歳になる四十二、三年後には、五十万、百万という大人数になるでしょうね。
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