世代論のその先

神田 『ロスジェネの逆襲』にはいろんな世代が出てきて、いろんな人の主張がわかるのが面白かった。池井戸作品って、人間臭いのが魅力だと思うんです。

加藤 森山たちがバブル世代を腐すけど、ぼくらから見れば団塊の世代はいいなあって思う。年金もちゃんと貰えるし(笑)。つまりどの世代にも言い分はあるんですよね。それを知るだけでも面白い。

寺倉 世代のせいにしだしたら「そのときに生まれたから」っていう結論で止まっちゃいますしね。

加藤 瀬名なんて若いけど、他人に迎合せず自分をちゃんと持って、厳しい時代を生き残ってきたデキる男です。こういうロスジェネもいるんだぞと主張しているようで、気持ちがいい。

大矢 最初に神田さんが「しっかりしたゆとり世代もいる」と言っていたように、世代全員が同じわけではないですもんね。

神田 この物語は半沢から下の世代に向けてのメッセージだと思って読みました。世代のレッテル張りがそもそもナンセンスだって。

加藤 半沢が森山に説教する場面は、妙に泥臭くて半沢らしくないように感じます。でも、バブル世代の池井戸さんとしては、書かずにはいられなかったんでしょうね。

大矢 今やロスジェネの世代が社会の中心にいるんだから、有名無実のレッテルなんかにとらわれず進め、と伝えるのは私たちバブル世代の責任ですよね。そういう意味ではロスジェネ世代はもちろん、バブル世代にも読んでほしい作品です。

加藤 ぼくら世代の男には「倍返し」は聞いたことがあってもドラマは見てないって人が多いと思うんですよ。そういう人こそ、読むと楽しめると思います。

寺倉 読みやすいし、ストレスの多いサラリーマンが読むと、スカッとしますからね。えっと(少し考え込んで)明日も仕事を頑張ろうと思えるような……。

全員 思ってないでしょ!

大矢 キャラが違う。

加藤 最後にうまくまとめようとして、とってつけたようになってるよ(笑)。

寺倉 (あきらめて)ま、明日もぼちぼちやるか、というところかな。

大矢 そうそう、自分の信じた道を行こうね(笑)。