- 2018.08.20
- 書評
僕とミステリ書店〈TRICK+TRAP〉と女探偵・葉村晶の不思議な関係
文:戸川安宣 (編集者)
『錆びた滑車』(若竹七海 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
その時、若竹さんはまたもや「〜殺人熊書店の事件簿・番外編〜富山店長自身の事件」という小冊子第二弾を作って持ってきてくださったのです! 今度は二十五部!!
その内容は、というと、十年前の「信じたければ」が〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉の富山店長の許に持ち込まれ……というわくわくするような発端なのですが、それ以上のことは……
先に引いたあとがきの中で若竹さんは、「読んだのはこの世に五十人程度しかいない。でも、せっかく五十人しか知らないものは、そのままのほうが面白いかも」といって、短編集『暗い越流』を拵(こしら)えるために「道楽者の金庫」を書き下ろすのに、私家版の小冊子「信じたければ」の設定だけを生かして続編を書くことにした、といっています。
ぼくも若竹さんに倣(なら)って、二十五人程度しか知らないものはそのままにしておくことにしたいと思います。そのうちに「富山店長自身の事件」の設定だけを生かして、素敵な続編を書いて下さる──のは、これは無理かな!?
本書、ならびに葉村晶シリーズには、さまざまな愉しみ方があります。
もちろん、綿密に構成されたプロット、ミステリとしての仕掛け、個性的な登場人物、就中(なかんずく)主人公葉村晶のキャラクター、そして古今東西の推理小説や、場合によっては映画に関する蘊蓄(うんちく)──それはこのシリーズを愛する読者の密かな愉しみ、巻末のミステリ紹介に結実しています──等々、本を読む愉悦のてんこ盛りです。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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