AIに小説が書けるのか?
松原 もう一つ、柳井さんに伺いたいのは、いまAIが話題ですが、将来的に人を感動させたり、人が成長する糧になるようなコンテンツをAIが作れるものなのでしょうか。また、その時に人間の筆者はどのような付加価値を提供することができると思いますか。
柳井 基本的には、人を感動させたり成長させたりするコンテンツを、AIは作れると思います。AIが最終的な自動生成までいくのは、最初はCMとかではないかと思います。CMは効果の測定がはっきりとでき、作品が短いから、まずCMからフルAIになっていくのではないかと。
他の分野では、AIによる部分的なサポートがだんだんと全体を侵食していくと思います。例えば、映画のあるシーンだけをAIに任せるとか、小説でも文章のある部分の表現の変換をAIに任せるとか。はじめはストーリーの流れを人間が設定するのですが、やがてその設定の部分もAIに置き換わるという感じではないでしょうか。
いずれは、「これはAI率70パーセントの小説です」とか、「この小説は人間率100パーセントが売りです」、みたいなことになっていくかもしれません(笑)。
松原 オーガニック野菜みたいに、人間率100パーで編集まで人間です、みたいな(笑)。AIに関しては、柳井さんはわりとフラットに捉えていらっしゃるんですね。人間にあまり過剰な期待はしていないというか。
柳井 近い将来、AIが能力的に人間の脳を超えていくことは自明ですが、AIが人間と同じようなものが作れるかどうかは、人間における身体性が獲得できるかどうかにかかってくると思います。
ロボットが一般的になって人間社会の中に入ってきた時、もしくは義体化とか電脳化ということが行われた時に、「疲れたからAIに仕事を任せてちょっと寝よう」というようなことが起こる。本人が寝ている間は、AIが自分の身体を操縦するわけです。そうなると、AIも身体性を獲得するわけで、人間が困っていることを文章にするというようなこともできるようになるし、人間が社会の中で不満に思っていることを汲み上げてくることもできるようになるでしょう。
そこまでくれば、AIが社会に対する問題提起を含めた社会派ミステリーを書くというようなことも当然ありうるのではないでしょうか。これは通常の流れとして起きない方が不思議だと思っています。
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