
司会 その場合、AIが感動するわけではないんですね?
柳井 AIは別に感動する必要はなくて、ある種のパターンの解析ですね。人間だっていってみれば分子ロボットなわけで、分子ロボットの中で化学反応を上手く起こさせるものがデータとして提示できればいいわけです。
あまりに複雑なので一見違うもののように見えても、じつは物理的、化学的反応に過ぎない。だったらシミュレーションもできますし、エミュレートもできるはずです。人間と同じような思考をさせる必要はなくて、人間に有用なパターン認識をさせればいいのです。
司会 鉄腕アトムの影響なのか、日本人は人工知能は人間型と思い込んでいるところがありますよね。あくまで最初は、道具として部分的に使うということですね。
柳井 犬と一緒に暮らしている人が、犬を家族だというのと同じ感覚です。AIがだんだん高度になってきた時に、AIは家族だと思ってもおかしくないわけです。人間と違う思考をするものであっても、それを家族だと認識できる能力を人間は持っている。アトムが人間と同じ思考をしているとは限らないということです。
司会 ついに小説とAIの可能性まで話が広がりましたね(笑)。出版界もいま本当に大きな転換期に差し掛かっていますが、その中で電子書籍の存在がますます大きなものになっていくのは間違いなさそうです。
みなさん、本日はどうも有難うございました。
撮影:深野未季

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