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『空を拓く』門井慶喜――立ち読み

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #歴史・時代小説

別冊文藝春秋 電子版28号(2019年11月号)

文藝春秋・編

別冊文藝春秋 電子版28号(2019年11月号)

文藝春秋・編

くわしく
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「別冊文藝春秋 電子版28号」(文藝春秋 編)

 三日後、金吾から返事が来た。

 ――承知した。すぐ上京する。

 はがきに筆書き。いかにも元気そうというか、字そのものが金吾の声でどなりだしそうな感じだった。

「なんだ」

 賢吉は笑うと、かたわらの塚本靖へ、

「一度くらい欠席してくれるほうが、こっちも気が楽なんだがなあ」

 と、めずらしく冗談を言った。そもそも次回の審査会は、大した議題はない。休んだところで大勢に影響はないのだ。

 塚本は、学究肌である。

 賢吉以上に冗談が苦手で、このときも、“にかわ”で固めたような渋面のまま、

「まあな」

 と言った。

別冊文藝春秋からうまれた本

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版28号(2019年11月号)
文藝春秋・編

発売日:2019年10月18日

プレゼント
  • 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編

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    応募期間 2024/12/17~2024/12/24
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