- 2019.12.28
- インタビュー・対談
冬休みの読書ガイドに! 2019年の傑作ミステリーはこれだ! <編集者座談会>
「オール讀物」編集部
文春きってのミステリー通編集者が2019年の傑作をおすすめします。
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#エンタメ・ミステリ
ルメートル入門にうってつけ!
司会 8位にはやはり文春の本、ピエール・ルメートルの『わが母なるロージー』(文春文庫)が入りました。
N 『その女アレックス』(文春文庫)に始まるヴェルーヴェン警部の3部作の番外編として書かれた中編で、時系列的には『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』(文春文庫)の間に位置する作品です。ただ、構造としてはシンプルで、パリで爆弾事件が起きるんですね。で、テロではないかとパニック状態になっているところに、「爆弾をしかけたのは僕です」と警察に出頭してきた男がいた。そして、自分の望みが叶わなければ、あと6個仕掛けた爆弾を爆発させますよというわけです。そこでおなじみのヴェルーヴェン警部が取り調べを担当して、彼の真意を引き出そうとする。いわば心理戦をともなう尋問小説です。最後は例によってルメートルらしい「そういうことか!」とビックリ仰天するラストシーンが展開します。一種の美しさを感じさせる結末であり、どんでん返しへのこだわりもあり、やっぱりルメートルの作品だなあと感じます。おすすめポイントとしては、3部作に比べればグロい描写がないこと。なので、これからルメートルを読んでみたいという方は、本書から入るのがいいかもしれません。
O 番外編ということだったけど、『わが母なるロージー』から入っても大丈夫なの?
N もう全然大丈夫です! 主人公の部下で、イケメンでお金持ちで性格もいい富豪刑事ルイという「こち亀」の中川みたいなヤツがいるんですけど(笑)、彼が大活躍するし、主人公の上司で巨体のル・グエン部長も出てきます。人気のある主要キャラが全員登場するうえに、ユーモラスで読みやすい。中編ですし、3部作を読もうと思いつつ手をつけかねている人には、強烈におすすめします。
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