物語にすれば、とどめておけるから
千早 家入さんにとっての成功って何ですか?
家入 私は表現することが好きなので、どんなかたちでも家入レオでいることが目標ですね。
千早 ミュージシャンってファンの方の数も多いし、耳に届く感想の量も膨大でしょうね……。小説の場合は読者の目が全部作品に行くので気が楽ですが。
家入 そういうところも、私が小説に惹かれる理由なのかもしれません。神名葵という人物は千早さんであって、千早さんじゃないわけで。
千早 物語に乗せれば、私は消える。そこはやっぱり小説のいいところだと思います。
家入 自分でも欲張りだなと思うんですが、私の場合は、自分を前面に出したい時は歌を歌って、メッセージをより伝えたいと思うときはブログや小説を書いたりするんです。あの、プロの方の前で言うのは恥ずかしいんですが、実はいま趣味で小説を書いていて。
千早 えーっ!? 本当に? 読みたい、読みたい。
家入 いや、そんな見せられるほどのものじゃないんですが、外に出すとなんだか落ち着くんですよ、言葉にしても涙にしても。
千早 涙も?
家入 はい。私、ひとりでよく泣きます(笑)。すごくすっきりする。
千早 ある種のデトックスですね。家入さん、集中力がすごそうだから、たまに溢れさせてあげないと。
家入 集中して作品に取り組んでいるときに、ちょっと横やりが入ると、気持ちが抑えられなくなることはありますね……。
千早 ワーッてなるんですか?
家入 獣になります(笑)。誰かに危害を加えることはないですが、号泣しながら街を走るとかしたこともあります……。
千早 かっこいい(笑)。
家入 フラストレーションなんでしょうね。もっとできるのに、という。
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