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<対談>家入レオ×千早茜「嘘がない自分を受け入れたから、見えてきた」

<対談>家入レオ×千早茜「嘘がない自分を受け入れたから、見えてきた」

別冊文藝春秋

電子版30号

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #小説

家入 そうなんですよね。身近な、たとえばマネージャーさんなんかも、最初は「いまから旅行? そんなことしてて大丈夫かな」とか心配してたと思うんですけど、私としては「大丈夫! この歌の主人公と私は四六時中一緒にいるんだから」って。それを最後に歌に落とし込むときに、家に帰って机と椅子とパソコンが必要なだけで。

千早 その瞬間のことが知りたい……まずどこから始めるんでしょうか。

家入 料理と一緒ですね。とりあえずフライパンがあるから油を引いてみるか、みたいなことから。

千早 えええ、料理をそんなふうにつくったことない……。

家入 あら(笑)? 千早さんはどんなふうにお料理を?

千早 食べたいもののイメージを固めて、そこに近づくための器具を選ぶところから始めます。こういう食感をだしたかったらフライパンじゃなくて蒸し器だな、みたいに。初めてつくるものはレシピを何種類か見て、このパターンとこっちのパターンの違いは何だ? ということをまず検討する。

家入 すごい、科学者みたいですね。

千早 父がばりばりの理系だったので、その影響かもしれません。

家入 うちは、母が料理系のお仕事をしていたこともあって、ハンバーグとかカレーライスみたいに名前がついているものじゃなくて、家にあるもの……たとえば「冷蔵庫にトマトとキャベツがあるから今日はこれだね」という感じでごはんがつくられていたんです。

千早 ああ、それは本当に料理が上手な方だ……。

家入 だから私も、料理はもちろん、曲とか歌詞とか、自分流でいいじゃないかと思っています。ケーキを食べて千早さんと私が同じように「おいしい」と思っても、その実感は全然違うでしょうし。だから料理もわざと実験っぽくつくったりしますね。

千早 あー、それはわかります。そういう挑戦は楽しいですよね。私もむかしパティシエみたいなことをしていて、いろんな食材を組み合わせては唸っていました。

家入 パティシエ!? 千早さん、作家デビューされる前はいったいどんな生活を……?

千早 フリーターですね。二十九歳で作家になるって決めていたので、経験を買おうと、タイプの違う飲食店をかけもちしたり、病院とか美術館とか役所とか、大学を出てからひたすらいろんなところで働いていました。

別冊文藝春秋からうまれた本

文春文庫
西洋菓子店プティ・フール
千早茜

定価:715円(税込)発売日:2019年02月08日

文春文庫
男ともだち
千早茜

定価:781円(税込)発売日:2017年03月10日

電子書籍
別冊文藝春秋 電子版30号(2020年3月号)
文藝春秋・編

発売日:2020年02月20日

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