- 2020.06.19
- インタビュー・対談
ラジオで聴く名作「妹背山婦女庭訓」を巡る物語。その魅力を女優・竹下景子が語る!
大島真寿美の直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』がラジオドラマ化
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#歴史・時代小説
――最後にラジオドラマ『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の魅力についてお聞かせください。
竹下 原作同様、ラジオドラマでも全編が関西弁なのですが、西田さんの江戸時代の浪花の人々の語り分けがとにかく巧みなんです。近松半二やほかの浄瑠璃作家、人形遣いの方や、道頓堀周辺の人々、全員が舞台を作るということに向けて、血が通っているのを感じました。声にはさまざまな「色」があるということを、ラジオから改めて感じるはずです。
西田さんは関西弁にも耳なじみがすごくよくて……私は関西弁には本当に苦労しました(笑)。登場人物の女性はみんな可愛らしいですし、いかにも彼女たちが喋っているという風になっていたらいいんですけど。特に録音をしていくうちに、私の中ではお三輪が「好き」から「大好き」になりました。
江戸の非常に生き生きした時代の人形浄瑠璃、どのように現代まで洗練されていったのか? このラジオを聴いた皆さんが、実際に生でも文楽を観たいと思っていただけるような、手引きにもなっていたら本当にうれしいですね。
竹下さんも語ったように、「今回の脚本は、人形浄瑠璃というものを知らない人でもイメージをもってもらいやすいように、かみ砕いて説明するよう工夫してもらいました。近松半二の生涯を縦軸にとらえながらも、色んな脇道も物語の中には出てきます。登場人物たちの造形も魅力的で、お父さんやお母さん、子供のころからの友人でのちに歌舞伎作者となる並木正三、人形遣いの吉田文三郎らがいい味をすごく出しています。ラジオは目に見えないので難しい部分もありますが、演劇やテレビドラマと比較することでいまのリスナーにも分かりやすいようになっているはずです。文楽が初めて、まったく知らない方でも、1回くらい観てみたいと思ってもらえたらいいですね」(真銅健嗣ディレクター)という。
そのほか、音楽を担当する菅野由弘さんは、国立劇場の歌舞伎や文楽公演ほかでも活躍。そのあたりも臨場感たっぷりのドラマに仕上がった。実際の文楽公演の幕開けは、まだ少し先になりそうだが、まずは日曜日の夜、名作「妹背山婦女庭訓」を存分に耳で楽しんでほしい。
NHKラジオ第1 新日曜名作座
渦 妹背山婦女庭訓 魂結び(全6回)
「人形浄瑠璃の世界は美しいんや……で、もっともっと良うなる」
2020年6月21日~7月26日 毎週日曜 午後7時20分~午後7時50分
【出演者】西田敏行 竹下景子
【原作】大島真寿美
【脚色】入山さと子 鈴木絵麻
【音楽】菅野由弘
【スタッフ】演出:真銅健嗣/技術:高倉健太郎/音響効果:野村知成
【あらすじ】
江戸時代の上方、道頓堀。人形浄瑠璃の巨人近松門左衛門没後、その近松の名を継ぐ戯作者、近松半二が現れた。父親の浄瑠璃好きが高じて幼い頃から芝居小屋通いし、門左衛門の硯を譲り受けたという。半二の生涯を通して、創作側、観客が一つの「渦」となって、おおきな創作を促していった当時の勢いと、人形浄瑠璃に命をかけた創作者たちの生きざまを描く。なお「妹背山婦女庭訓」は近松半二畢生のヒット作品。
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