- 2020.07.01
- インタビュー・対談
福島トリオは同級生ではなかった! おでん屋は本当にあった!? 朝ドラ「エール」を振り返る
聞き手:文春新書編集部
モデルとなった「古関裕而」の評伝の筆者・辻田真佐憲氏が解説
――友情ということでは、裕一と同じ福島出身で幼馴染の久志と鉄男との関係も描かれています。それぞれ山崎育三郎さんと中村蒼さんが演じておられます。
辻田 久志は歌手の伊藤久男、鉄男は作詞家の野村俊夫がモデルになります。彼らは「福島トリオ」などと呼ばれていました。この3人が福島出身なのは史実ですが、ドラマならではのアレンジも多く入っています。たとえば古関と野村が同じ地域に住んでいて幼馴染ですが、年齢は野村が5歳上なんです。小学校も別のところに通っていました。
一方で、古関と伊藤が出会ったのは大人になってからのこと。古関の妻・金子が通っていた音楽学校を通じてのことになります。ドラマでも音楽学校のシーンが印象的ですが、これも史実をうまく取り入れているといえます。
ちなみに、鉄男が福島から上京してから屋台のおでん屋をやっていますが、これは本当の話です。そこで、お酒を飲んで楽しそうに話をしている古山裕一は完全に創作。古関裕而はお酒が飲めなかったんです。美味しい日本酒がたくさんある福島が盛り上がる作品ですから、主人公が下戸だと都合が悪いと思ったのかもしれませんね(笑)。
――3人の関係がどう展開するのか、楽しみですね。
辻田 私が注目しているのは、3人による初めての仕事です。少しネタバレになってしまうのですが、ご紹介しましょう。この楽曲は1940年に発売された「暁に祈る」です。日中戦争下の大ヒットソングで、いわゆる「軍歌」と呼ばれるジャンルに入れられる曲です。古関は「軍歌の覇王」と呼ばれたほど、当時の音楽産業の中心にいた人物。戦争と音楽産業をどのように描くことになるのか、そしてそこに福島トリオの友情をどう絡めていくのか。とても興味深く思っているところです。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。