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ステイホームのお供に! 2021年上半期の傑作ミステリーはこれだ!【国内編】<編集者座談会>

ステイホームのお供に! 2021年上半期の傑作ミステリーはこれだ!【国内編】<編集者座談会>

「オール讀物」編集部

文春きってのミステリー通編集者が2021年の傑作をおすすめします。


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

【“密室”の魅力を堪能できる新鋭のデビュー作】

KU さらにカルトつながりで、もう1冊。「カッパ・ツー」出身の新人、犬飼ねこそぎさんの『密室は御手の中』(光文社)が面白かったです! 阿津川辰海さんがデビューされた新人発掘プロジェクトから登場した2人目の方です。

『密室は御手の中』(犬飼 ねこそぎ/光文社)

山奥にある新興宗教「こころの宇宙」の総本山で連続密室殺人が起きるのですが、その第1の殺人現場というのが瞑想のために閉じ籠もる岩のお堂。完全な岩の密室の中で、女性の身体が10以上のパーツに解体されるという仰天の幕開け。実は100年前にも同じ場所で修験者が消失する「奇蹟」が起きていて、もう「犬飼さん、本格が好きなんですね」というほかない(笑)。探偵役は、ある依頼を受け、ジャーナリストの取材を装って「こころの宇宙」に潜入している私立探偵。いっぽう「こころの宇宙」の教祖はまだ14歳の少年、神室密(かみむろひそみ)。この名探偵と教祖との掛け合いによって話が進みます。

司会 舞台は派手ですけど、推理は緻密で非常にロジカル。とくに2番目の密室殺人について、教祖と探偵とで可能性を一つ一つ潰していく論理合戦は、ページをめくる手が止まらない面白さでした。

KU ベタなくらいオーソドックスで直球の本格ミステリーのスタイルをとりつつ、密室の作り方なども工夫されていて「ここまで新しい要素を盛り込めるんだ!」という感動があります。阿津川さんも作中での探偵の立ち位置を非常に丁寧に描かれてきた方ですが、本作で興味深いのは、探偵と助手の関係の描き方なんです。この助手の存在は、ミステリー的にも興味深いですし、これによって作品のテーマにぐっと奥行きが出ているのだと唸りました。さすが阿津川さんを世に送り出した「カッパ・ツー」だけのことはあって、期待の書き手として要注目の存在です。

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