第11回目を迎えた「本屋が選ぶ時代小説大賞」。目利き書店員の皆さんが本気で「いちばん売りたい」一冊を選んでいただく選考会は、2021年10月27日に文藝春秋本館にて行われ、例年以上に白熱しました。
本年度の選考委員は、阿久津武信(くまざわ書店錦糸町店)、市川淳一(丸善ラゾーナ川崎店)、平井真実(八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店)、昼間匠(リブロプラス本部)、吉野裕司(紀伊國屋書店新宿本店)の5氏。
候補作については令和2年10月1日~令和3年9月30日に発表された単行本の中から、文芸評論家の縄田一男、末國善己、大矢博子の3氏の推薦をもとに、下記5作品を候補作が候補作に選ばれました。
『もろびとの空 三木城合戦記』天野純希(集英社)
『高瀬庄左衛門御留書』砂原浩太朗(講談社)
『化け者心中』(KADOKAWA)蝉谷めぐ実
『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』武川佑(文藝春秋)
『黒牢城』米澤穂信(KADOKAWA)
選考会に出席された書店員の皆さん(敬称略)
コロナ禍での書店の状況とは!?
――書店員のみなさんが「いちばん売りたい」一冊を決める、本屋が選ぶ時代小説大賞も第11回を迎えました。コロナ禍も一年半が過ぎ、書店を取り巻く環境や「こんな時こそ読みたい」と求める小説にも変化があったことと思います。
昼間 私は特定の店舗にいるのではなく、チェーン全体を見渡すような立場なのですが、好調だった店が周辺の人流変化に影響を受けたり、持ち直す兆しが見えたり。まだ色々なことが現在進行形で油断できません。去年の今頃は「春には収まるはず」と期待していたのですが。
――去年の選考会で集まった時には『鬼滅の刃』の話題で持ちきりでしたが、今年はいかがでしたか?
阿久津 引き続き苦しい状況に変わりはないのですが、それでも『東京卍リベンジャーズ』などコミックのヒット作があったのはありがたかったです。
市川 日本人の潜在的なヤンキー需要を改めて実感しました(笑)。とはいえ流石に鬼滅ほどではなく、去年はコミック担当として死にそうな忙しさだったことを思えば、今年は打撲くらいでしょうか。候補の五作を見ても、新しい作家さんもどんどん誕生されているので、お客さんに届けられるように頑張りたいです。
平井 うちの店がある上大岡はベッドタウンで年配のお客さまが多いので、緊急事態宣言中はぱったりとご来店がなくなってしまって。解除後は、特に午前中は目が回るような忙しさです。お客さまが戻ってくださって本当に良かった……! それから、オリンピック関連書籍やパラリンピックの写真集もよく売れました。
――そして今回から新たに選考に加わってくださるのが、紀伊國屋書店新宿本店で副店長を務められる吉野さんです。
吉野 よろしくお願いします。歴史が好きで、時代小説も好きで読んでいるうちにいつの間にか書店に就職したようなものなので、今日この場に来るのを本当に楽しみにしていました。
一同 (拍手)
――さて、候補作は、文芸評論家の縄田一男さん、末國善己さん、大矢博子さんが今年度(2020年10月から21年9月まで)のベスト10を選定。複数の推薦があった作品が候補となりましたが、戦国など一時代に固まることもなく、今年は見事にバリエーション広い五作で、みなさん迷われているようですね。激戦の予感です。早速、一作ごとの魅力や評価を伺っていきたいと思います。
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