- 2021.12.07
- インタビュー・対談
《鎌倉殿の13人》 「頼朝の精神的後継者」 の小栗旬、中村獅童は「文武に秀でた有能な外交官」… 伊東潤が解説する“古参の家臣団”の“素顔”
『夜叉の都』に寄せて
個性豊かな宿老たちを三谷幸喜はどう描くか
和田義盛【横田栄司】は頼朝によって侍所別当という要職に就けられたが、実際は「武辺気質の典型的な鎌倉武士」だった。だが義盛は妥協することを知らず、声高に自己主張するので、周囲から浮いた存在になっていく。その結果、北条氏との間で疎隔が生じ、武力に訴えざるを得なくなる。だがその決戦に敗れ、一族もろとも滅亡する。過酷な時代なので利己主義にならざるを得なかったのは分かるが、もう少し利他を考えれば、また違った人生を歩んでいたことだろう。
安達盛長【野添義弘】は頼朝に影のように付き従った補佐官で、鎌倉幕府草創期の功績はとくに大きい。よく言えば「鎌倉幕府創設の陰の立役者」だが、頼朝の秘密警察的役割を担っていたのも事実だろう。頼朝の死後は出家して影が薄くなるが、梶原景時の弾劾では積極的に動き、幕府を安定へと導いていく。
三浦義澄【佐藤B作】は鎌倉時代を象徴するような三浦一族を率い、幕府の創業に大きな貢献をした。だが面白い逸話もなく、義澄がどんな男だったかはなかなか見えてこない。頼朝挙兵時には54歳という高齢だったので、分別盛りで目立たなかったのかもしれない。いわば「自己顕示欲が少ない沈黙寡言な人」たったのではないだろうか。
その他のメンバーを一言で言うと、以下のようになる。
二階堂行政「鎌倉幕府の屋台骨を支えた実務官僚」
中原親能「京都外交を担った有能な文士」
三善康信【小林隆】「平衡感覚に優れた最高裁長官」
八田知家「幕府の北関東支配の要」
足立遠元「文武両道に通じたご意見番」
「13人の宿老」には、これだけ個性豊かな人物がそろっていたことになる。その実像は別としても、『吾妻鏡』が個々の人物像を生き生きと描き出してくれたことで、鎌倉時代をより身近に感じられることだろう。
さて、いよいよ大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が始まる。脚本家の三谷幸喜氏が、彼らをどのように描くか、今から楽しみだ。
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