矢部 そうですね。それがごく最近になって書店の危機感が高まってきて、自分たちで売らなきゃということで一生懸命POPを書いたり、本屋大賞みたいな企画を立てたりということが出てきたわけですよね。
販促に関しては、書店としても本が入荷して初めてこんな本が発売になったとわかるわけです。前にいた紙の書店では隣が雑貨や文房具の売り場で、メーカーさんの営業がお試しを持って来たり、こんな機能もあります、あんな機能もありますって一生懸命説明してくれます。
もちろん出版社の営業の方も来るんですけど、その時点では現物はないわけですから、せいぜいチラシをいただくくらいで、あとは口頭で説明していただいて、何冊くらい注文してくれますかと。普通の業界では現物が届いてから、「こんな本なんだ、だったら何部くらい売れそうかな」という検討を始めると思いますので、柳井さんが仰るように紙の書店は少し環境が違うんですよね。
柳井 商売としては、ちょっと隔靴掻痒なところがありますね。
矢部 本屋さん側からしても当事者意識が持ちにくいというか、これまでは持ってなくてもよかったんだと思います。お店で待っていればお客様がきてくれたという時代だったということですね。最近になって、さすがにそれでは難しくなってきて、「ちょっと早めに情報ください」とか、版元さんと「どうやったら売れるか一緒に考えましょう」というような、前のめりな感じが出てきたのかなと。
ほかの売り場と違って、書店の場合は店員がお客さんに売り込むというようなことはしません。昔はむしろシーンとしてなくちゃいけないという感じでしたから。いまはBGMも流れていたりして、そんなこともなくなったんですが。
柳井 いまは人の代わりにPOPが話しかけるということでしょうか。最近ではPOP名人といわれるような書店員さんもいるみたいですね。
矢部 そうですね、むかしはPOPもなかったですからね。
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