- 2020.08.07
- インタビュー・対談
夏休みの読書ガイドに! 2020年上半期の傑作ミステリーはこれだ! <編集者座談会>
「オール讀物」編集部
文春きってのミステリー通編集者が2020年上半期の傑作をおすすめします。
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
選考会の評価が割れた問題作!
H Tさんおすすめの城戸喜由さん『暗黒残酷監獄』(光文社)も、設定で遊びまくっている感じがとてもよかったですね。
T 『暗黒残酷監獄』は、昨年の日本ミステリー文学大賞新人賞。選考会の評価が真っ二つに割れた問題作で、委員の有栖川さんは、これが落選しても「コピーを手許に置いておくつもりだった」と絶賛しています。主人公は高校生の清家椿太郎。メチャクチャな家族関係で、父は誘拐にかかわった過去をもつゲーム音楽の作曲家。母親は交通事故で死亡したことになっているけど実は存命、姉は生魚をさばくYouTuber。兄は小説を投稿していましたが自殺しています。ある日、YouTuberのお姉さんが音楽スタジオで十字架に磔にされて死に、「この家には悪魔がいる」とのメモが残されていて……。
司会 あらすじを聞くだけでも面白そうです。
T このメモの真相を探るために椿太郎は家族の過去をどんどん掘っていくんですが、彼自身のキャラがまたユニークで、人妻好きが昂じて10人くらいの人妻と不倫してる。さらにクラスメイトからもモテモテで、ある女の子は椿太郎とつきあいたいがために別の男と結婚して人妻になっちゃうほど(笑)。これだけの要素が詰め込まれているのに、混線せずに話がまとまっていき、終盤では、伏線回収とどんでん返しが連発するんですね。いまのエンタメって伏線回収が重要視されてるように思いますけど、そういう意味でもたくさんの謎と伏線回収、どんでん返しを楽しめるコスパのいい作品。どんでん返しの連続は、Netflixのアメリカのドラマのようでもあります。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。