美しいスタッコの外壁に、赤茶色の瓦屋根。
優美な曲線を描くアーチ状の玄関開口部とそこに施されたアイアンワーク。
見事なスパニッシュ様式の二階建てだ。
「近代建築の中で暮らしてみたい」
そう思ったときに夢想した建築が、二〇二〇年の暮れ、ついに実現した。
場所は、大阪府寝屋川市にかまえた自宅から徒歩三分の淀川沿いである。
設計は、W・M・ヴォーリズの遺志を継ぐ一粒社ヴォーリズ建築事務所に依頼した。
ヴォーリズは明治学院のチャペルをはじめ神戸女学院大学、山の上ホテル、大丸心斎橋店旧本館など、内外に一五〇〇以上ともいわれる近代西洋建築を建てた米国生まれの建築家で、門井さんにとっては特別関心の深い人物だった。一六年には、『屋根をかける人』という、彼の半生に迫る長篇小説も発表している。
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