一八年に『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞。賞金でPCなど仕事道具を一新しながら、次は独立した仕事場が欲しいと気持ちが奮ったという門井さん。
「資料の量で、作品の質は変わる。このまま2LDKの賃貸マンションで執筆を続けていたら、それだけのものしか書けなくなるという焦りもあった」
そんなときに近所で一〇〇坪の土地が売りに出た。即断したという。
耐震性はもちろん、大量の本を置くことを考慮し、基礎は「べた基礎」(面で建物を支える構造のもの)を選んだという。空地だった場所に基礎がつくられ、さらに配線や配管といった設備が整えられていくのを観察するのはとても楽しかったと門井さんは話す。「様式や美術の他に、何が家を家たらしめているのか、今回の経験でひとつ、欠けていた視点が備わったような気がします」
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