特に思い出深いのは、十分の街において願いが叶うという天燈(ランタン)を上げたことです。当時はプロの作家になりたくてせっせと小説を書いており、「一筆入魂」「松本清張賞受賞」という字をでかでかと書いてお祈りしたのですが、その数か月後に応募した松本清張賞において、私はプロとしてデビューさせてもらえることになりました。
そして同じ旅行で、「よく当たる」と評判の占い師の方に未来のことを占って頂きました。
「私はプロの作家を目指しています。努力し続ければいつか夢は叶うでしょうか?」と訊ねたところ、「あなた運が強いから大体何とかなるよ!」と言われたのです。「そんなあっけらかんと叶うもんですか!?」と当時はびっくりしたものですが、実際、その直後に何とかなってしまいました。
あの旅行から、もう10年が経ちます。
当時せっせと書いていたデビュー作から続くシリーズを翻訳して頂けることになるとは、非常に感慨深いです。今思うと、あの台湾旅行が私の作家業に良いめぐり合わせをもたらしてくれたような気さえいたします。
いつか、お礼参りにまた台湾に伺いたいですね!
台湾の皆さんにも、八咫烏シリーズが少しでも面白いと思って頂けますようにと祈っております。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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