コミカライズの新刊に関しては色々とおすすめポイントがあるのですが、何と言うか、素直におすすめとは言えないんだけどささやかに好評を博しているオマケもあります。
第25回のコラム(漫画版『烏は主を選ばない』1巻オマケについて)で発端をご紹介した、「無賃! パワハラブラックアルバイター雪哉」です。
ご存じない方のために説明しますと、これは「もし八咫烏シリーズのキャラクター達が現代日本(仮)に生まれた人間だったら?」という、本編とは1マイクロミクロンも関係ないセルフパロディ企画です。両面ポストカードのA面には松崎さんの描き下ろしイラスト、B面には阿部の書き下ろし小話(※小説ではない)が印刷されています。
あまりにトンチキな企画なので単発で終わるかと思いきや、「続いちゃったよ……」という感じになっています。気が付けばもう第3回ですよ。私は楽しいばかりなので、書かせてもらえるならいくらでも書いちゃいますよ。やばいと思ったら関係者の誰か、早めに止めて下さい。
松崎さんも、これを描いた当時はかなり修羅場だったはずなんですけどね。
登場人物の某政治家に「上質なツイードのジャケットを着せたい!」と、そのヘリンボーン柄を全て手描きで表現するという強固なこだわりを見せて下さいました。あともっこもこの某護衛を表現するために色々練習もして下さったみたいです。
すみません、実物をご覧になっていない方には何のこっちゃですね。
何のこっちゃだとは思うんですが、人間パロと銘打っているのに、某護衛だけは人間ではないんですよ。毛むくじゃらの生物になっています。
このオマケは毎回うっすらその巻の内容にリンクさせているのですが、今回、とうとう某護衛を登場させるにあたり、どう表現しようかと悩んだんです。そして、「あいつを人間にするのは無理だな」と検討を始めて数秒で諦めました。現代パロディであの行為は人類としてのコンプライアンス的にダメダメなので……でもマイルドにしたらあいつじゃないし、と……。
結果、毛むくじゃらになったあの護衛は、個人的にはブラックアルバイター世界の中で最高にキュートな存在になってくれたと思っています。
そんな「無賃! パワハラブラックアルバイター雪哉3」は、初版単行本(電子書籍では読めません!)のみのおまけとなっております。興味をそそられた方は、是非手に取ってご覧頂ければ幸いです。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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