では、どうして今回はその法則を破ったのかと申しますと、八咫烏達が主役ではあるのだけれど、今までとはやや趣の異なる物語だからです。
『楽園の烏』と『追憶の烏』の内容、シリーズ全体の構成を踏まえて、今ここでこれを書き、タイトルもこうするしかないと判断しました。『烏の緑羽』のもとになったのは「シリーズが完結するまでに絶対書きたい」と思っていたエピソードなのですが、時ここに至ると短編ではおさまりきらないほど話が膨らんでしまい、テーマや登場人物を含め「外伝」と称することも出来ない内容になってしまったのです。個人的には、シリーズの立ち位置としては『玉依姫』に近くなっちゃったかなと感じています。
また、10月5日には第二部1巻となる『楽園の烏』の文庫も発売されます。
ほぼ同時発売みたいな感じになりそうですね!
すでに『楽園の烏』はイラストレーターの名司生さんが本当に素晴らしい装画を仕上げて下さっており、『烏の緑羽』もラフの時点でめちゃくちゃ良い案を頂いております。新刊は表紙のイメージが湧きにくい内容でして、「いやあ、どうしたものですかね」「最低限この人が表紙がいいんじゃないですか?」くらいしか私も編集さんも考えていなかったのですが、最初の話し合いの席で(毎度のことながら)名司生さんがとんでもないアイデアを披露して下さいました。こうなると、もうこれ以外は考えられないよね、というレベルです。発表になった後、色々と制作秘話をご紹介出来たらと考えております。とにかく、表紙に関しては私も太鼓判を押せますので、皆さまにも楽しみにお待ち頂ければと思います!
肝心の原稿に関してですが、現在ひいひい言いながらゲラ作業を行っております……。
いずれも最善の形で皆様にお届け出来るよう頑張りますので、刊行のあかつきには、どうか手に取ってご覧頂ければ幸いです。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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