先週5月20日に発売となった『オール讀物』6月号に、八咫烏シリーズ短編「きらをきそう」を寄稿させて頂きました。
第二部が始まってから、短編発表時に付けて頂くイラストは鈴木雉子さんに描いて頂いております。毎度「そこを切り取ってくるのか!」という視点で、その場の空気すら感じられるような絵を見せて下さるので、短編を書く際の楽しみとなっています!
既にお読み下さった方には分かって頂けると思うのですが、今回も場面の切り取り方が絶妙で、めちゃくちゃ素敵なイラストなんですよ……! もっと派手で見栄えするであろうシーンは他にもあると思うのですが、今回の主人公のターニングポイントとなる瞬間をバシッと捉えて表現して下さっています。一目見た瞬間に「おお、すごい!」と声が出ました。鈴木雉子さん、いつも素晴らしいイラストを本当にありがとうございます!
八咫烏シリーズは、たくさんのクリエイターのお力を借りながらビジュアルイメージを形成しており、時にそういった絵のイメージから影響をもらうことがあります。
『楽園の烏』では名司生さんに鬼灯型の灯籠を裏表紙に描いて欲しくて作中の季節をずらしましたし、今回の「きらをきそう」も、コミカライズのオリジナル部分から刺激を受けて書くことになりました。
松崎夏未先生によるコミカライズ『烏に単は似合わない』3巻収録の第24話「炳(へい)として」では、原作ではさらっと数行で流してしまった内容を膨らませ、圧倒的な描写力で数ページに渡って表現されています。つまり、遊女であった白珠の祖母が北家当主の妻におさまり、どう生きてきたのかをリアルタイムで見せてくれたわけです。
もともと、あの部分を見る度に「はー、このシーンすごいな~! 私も負けてられないな~」とは思っていたのですが、単行本化の際に「凌霄太夫(のうぜんだゆう)」の名前を出すことになり、本格的に「あ、これは小説のほうでも一本書くことになるかも」と予感しました。
ただ、その後何度か遊女の短編を書こうという話が持ち上がっても、この予感はうまいこと作品として立ち上がってくれませんでした。何かピースが抜けているのかもなぁと思っていたのですが、ここでも松崎さんとの会話が助けになってくれました(笑)。
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