三崎亜記さん「30センチの冒険」。異世界に迷い込んだ“僕”が頼りにできるのは、30センチのものさしだけ。果たして“僕”は元の世界に戻れるのか?
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知念実希人さん「レフトハンド・ブラザーフッド」。エイリアンハンドシンドロームという奇妙な疾患に冒され、片腕に兄が宿った高校生の岳士。強引な治療から逃れ家出した先で殺人事件に巻き込まれ犯人と目されてしまったことから逃亡を余儀なくされるが、徐々に真犯人へと至る手掛かりが集まってきて……。
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伊吹有喜さん「ホームスパン」。祖父が上京してきて、十数年ぶりに家族みんなが揃って食事の席。だが、美緒の進路を巡り、楽しいはずのすき焼きは一転……。バラバラだった家族に、ホームスパンを学び始めた娘が変化をもたらす。惑い悩みつつ再生を目指す家族の物語。
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藤野恵美さんの「淀川八景 さよならホームラン」。淀川を舞台に、様々な人生模様に迫る連作短篇の第6話。母が出ていった我が家にリカコさんと弟がやって来て、あたしの日曜日は大きく変わった。
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深緑野分さん「スタッフロール」。映画の“魔法”に魅せられたマチルダと、ヴィヴィアン。戦後ハリウッドと現代ロンドン、それぞれの場所で夢見るふたりの愛と冒険の物語。今回はロンドンのスタジオで、いまかいまかと女性社長モーの帰国を待ちわびるヴィヴたち。CGチームには、彼女だけが知っている「手掛かり」がどうしても必要なのだ。
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畑野智美さん「神さまを待っている」。派遣社員としての職を失いホームレスとなった水越愛。漫画喫茶で寝泊まりし、出会い喫茶で男たちの「茶飯」につき合い生活費を稼いでいたが、次第に声がかからなくなってきた。そのタイミングで、唯一の常連客であるケイスケからホテルに誘われて……。堪えてきた一線を越えてしまった愛を待っていたのは果たして——。
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谷瑞恵さん「まよなかの青空」。今年33歳になる竹宮ひかるには、かつて特別列車「あおぞら号」でふしぎな少年に出会った記憶があった。様々な形でその少年とかかわりを持つ大人たちが再びめぐり合い、捨ててきた過去に向き合い始める。手始めに「テツヤ」と呼ばれていた少年の消息を辿り始めたひかるの前に、二人の女性が現われて……。
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小林泰三さんの新連載「代表取締役アイドル」第2回。駆け出し地下アイドルにある日、社外取締役就任のオファーが舞い込んだ。依頼主はさる大企業の社長で、報酬は信じられないほどの高額だという。果たしてこれは朗報なのか? いざ取締役会に向かってみると……。
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柴田よしきさんの「高原カフェ日誌(ダイアリー)Ⅱ」。東京の女性雑誌の編集部で働いていた奈穂が百合が原高原に移住してカフェを開店してから約2年。自然の恵みを生かした料理は好評でひとりで切り盛りする店もやっと地域の住民にも認められるようになってきたのだが……。10年先を見据えて高原でワイン醸造に挑む元・人気ミュージシャンの森野大地の決意に触れて、奈穂に去来した思いとは。好評の高原カフェ日誌(ダイアリー)シリーズ続篇。
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北尾トロさんの「今晩泊めてくれないか—東京ヤドカリ漂流記—」。60歳を前にして友人がまさかの起業。多額の借金をしての背水の陣の行方は!? 還暦間近のライターが東京で友人の家を泊まり歩いて考えたこととは。もう逃げ場のない大人たちに捧げる人生譚。
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武田花さんの連載「ポップス大作戦」。これまで銀塩カメラで数々のモノクロ写真集の傑作を上梓してきた武田さんが、カラー写真に目覚め、愛用するデジカメ片手に気の向くままにふわふわ漂う至福のひと時。レンズの先には見知らぬ街や物、父・泰淳、母・百合子の思い出の品々……。色鮮やかなフォト&エッセイの新境地。今号では、赤銅色に輝く巨大な鳥居がそびえる厳かな神社を歩いた花さん。その参道で目にした妙な光景とは。
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久世番子さんの「よちよち文藝部」。今回取り上げるのは『高慢と偏見』。作者の人生はつまらなそうなのに、なぜこんなに面白いのか? という偏見に満ちた姿勢で読み解きます。
コラム
デビュー作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』(女による女のためのR−18文学賞大賞受賞作収録)が話題の町田そのこさんが、「偏愛がとまらない」のお題で寄稿くださったのは狛犬愛をつづった「愛しのこぶた狛犬」。果たしてこぶた狛犬とは?
各書評で大絶賛! デビュー作『ユートロニカのこちら側』につづいて今年8月に刊行した『ゲームの王国』(上・下)が話題の小川哲さんが、「あの日」というお題でご寄稿くださったのは「3月10日」。大震災があった「あの日」の前日、僕はいったい何をしていたのか?
インタビュー
ベストセラー『震える牛』や東芝の「不適切会計」事件をモデルにした『不発弾』で、社会の歪みを描き出してきた相場英雄さん。永田町の闇に斬り込んだ『トップリーグ』についてお話を聞きました。
青春小説の歴史に残る大傑作!! 前作『リリース』が三島由紀夫賞候補、そして19日に「織田作之助賞」を受賞されたばかりの古谷田奈月さんに、最新作『望むのは』についてお聞きしました。
イラスト:長場雄
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。