紙の本と電子書籍の〈読み感〉の違い
司会 柳井さんは「いま、電子書店で売られているような電子書籍だけが電子小説じゃない」ということを作中で登場人物に語らせています。その辺りについてちょっとお話しいただけますか。
柳井 現状の電子書籍は、例えば文字は縦組みで本をめくるようにスクロールするというような、紙の本の形態をそのまま電子に移すというやり方です。それは電子の側から見ると不合理です。紙の本の真似をして、電子の強みを存分に活かしていないわけですから。
紙の本と、電子の本は違うものです。そして、表現はメディアに規定されるところがあります。例えば音楽もレコードがCDになり、ネット時代になるとCDも消えていくというなかで、それぞれのメディアに合った楽曲が作られてきました。
本の場合も紙の本が電子になればボリュームやサイズも変わるし、それにともなって章の区切り方や文章の書き方も変わります。
たとえば、年配の読者は字のサイズを大きくして読む人が多く、紙の本と同じような段落の区切りにするとページが真っ黒になってしまいます。そうなると、なるべく改行を多くするという選択肢が出てくるわけです。
また、紙の本であればページの厚さでどのあたりまで読み進んだかわかったのが、電子では繰っても繰っても先に進まないと感じたりします。そうなると、電子は章タイトルがついた細かい区切りをたくさんいれて、ゲームでステージをクリアするようなイメージでサクサク読めるようにしよう、という手法も考えられるわけです。
料金の支払いについても、これまでは丸ごと一冊買ってその代金を払うスタイルだったのが、マンガアプリなどでは先読みにお金を払うとか、ネット小説では連載を読む権利を買うといったやり方も出てきています。電子が主流になっていくに従って作者の表現も変わるし、商売の仕方もまた変わっていくのだろうと思います。
司会 我々よりも若い、もっとネットに順応した世代の人たちから見ると、別に紙の本の真似をすることはないし、もっと読みやすいスタイルがあるのならそれでいいということでしょうね。
佐藤さん、その辺りはいかがでしょう?
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