2年ほど前には、見かけたというレベルではなく、我が家にカワセミのほうからやってきてくれたことがあります。
たまたまですが、梅雨時に穴を掘ったところ水脈に当たってしまい、畑にちょっとした池が出来てしまったのです。水が引くのを待っていると、なんとそこにカワセミがやって来て、土の側面に穴を掘って卵を産んでしまったのでした。
私も両親も驚くやら嬉しいやらでしたが、このあたりはカワセミの天敵が山ほどいます。水場も梅雨時限定ですから、「こんなところに卵産んで大丈夫かいな!?」と心配していました。案の定、カワセミがそこにいたのはほんのわずかな間で、卵はそのまま放棄されてしまいました。カワセミ自身が「駄目だこりゃ」と逃げてくれたのならいいのですが、他の動物に食べられちゃったのではないかしら、と、しばしば我が家では心配されていたのです。
が、先日、久しぶりにカワセミを見つけました! テンションが上がったままここにご報告させて頂きます!
家にほど近い、住宅に囲まれた水場で、首をかしげながら水の中を覗いていました。前に我が家に来てくれた個体と同じかどうかは分かりませんが、この辺りにまだ住んでいることが分かって、それだけで大変幸せな気持ちになりました。
しかし意外と、カワセミって人の暮らしに近い生き物なんですね……。
実は群馬だけでなく、私は東京でもカワセミを見かけたことがあります。
コロナ禍の前、まだ、1年の半分を文春の缶詰部屋で過ごしていた頃のことです。
流石に何日も缶詰部屋に閉じこもっていると体調が悪くなるので、買い出しの名目で1日1回は外に散歩に(現実逃避に)出ていました。文藝春秋の裏手には緑豊かな公園がありまして、そこを1周して戻ってくるルートを通るようにしていたのです。
で、そこにいたんですよ、カワセミが!
東京のビル街ど真ん中です。
流石に我が目を疑いましたが、それは間違いなくカワセミでした。見にくいですが証拠写真もあります。
文春の皆さんも裏の公園にカワセミが出るとはご存じなかったので「もしかしたら群馬で見かけるよりもずっとラッキーだったのでは……?」などと思いましたが、よくよく考えたら会社に泊まり込んでいる時点で滞在時間がおかしいことになっているので、単純に分母の問題かもしれませんね。
意外と身近なカワセミ、今後も見られるのを楽しみに散歩したいと思います!
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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