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作家の羽休み――「第46回:新年の悲劇」

作家の羽休み――「第46回:新年の悲劇」

阿部 智里


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

 いよいよ2022年になりましたね! 寅年です!

 私の実家には世界一かわいいトラ猫がいるので、根拠なく良い年になりそうな気がしています。

 そういえば、例年Twitterの年始の挨拶には趣味の切り絵(貼り絵?)を添えてもらっているのですが、今年の虎ちゃんは作っているうちにイエネコっぽい顔になってしまいました。下絵の段階ではちゃんと大型のネコ科の顔をしていたはずなんですけどね。作り終わってから「あれ? どっかで見た顔だな」と思ったのですが、よくよく見ると我が家で面倒を見ているさくらねこ(不妊・去勢済の印にお耳に切り込みを入れた地域猫)のりぼんちゃんにそっくりでした。深層心理って面白いものです。

阿部さん作の切り絵
さくらねこのりぼんちゃん

 そういえばこのお正月、私は病院に行って参りました。

 先に申し上げると新型コロナとは関係ありません。何か重大な病気があったわけでもありません。本当に大したことのない、非常にくだらない話なのですが、似たような思いをされる方も絶対他にいらっしゃると思いますので、参考までに書き残しておこうと思います。

 私が異変に気付いたのは、元日の夜のことでした。

 なんか喉がイガイガするなあと思い、鏡の前で大口を開けて口の中を確認しました。

 喉は別に腫れているわけではなく、口が乾いているのか唾がちょっと糸を引いている他は、特に問題は見当たりませんでした。いや、よくよく見ると、喉の奥に白い塊が見えます。

 その時点で、なんだこのせいか、と私は思いました。

 以前調べたことがあったので、これは「膿栓」であり、自然と取れるものだと分かっていたのです。食べ物の残りかすや老廃物の塊であり、口臭のもとになる憎い奴ではありますが、体に大きな害はありません。

 ちょっと違和感はあるけど、まあ、すぐに取れるだろうし問題はないだろう。

 そう考え、歯みがきと洗口液のうがいだけして、放置していました。

 ところがこの違和感は、なかなか消えてくれなかったのです。3日の夜になってもまだ喉がイガイガしていたので、もう一度口の中を確認して、私は「アレ?」と思いました。

 2日前にあった「膿栓」が、綺麗さっぱり消えていたのです。

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