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作家の羽休み――「第51回:凝り性な父と台湾茶」

作家の羽休み――「第51回:凝り性な父と台湾茶」

阿部 智里


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

 母が私を妊娠していた頃、他に類をみない料理の才を発揮してラーメンスープの蕎麦を爆誕させた父です。どうなることかとひやひやしましたが、四苦八苦しながら、確かにすごく美味しいオランジェット(父的にはオレンジ部分に水分が残っていてジューシーさが感じられ、チョコレートが甘過ぎずパリッとしていることが重要らしい)を作り上げました。お相伴に与った私と母は感激し、「すごい! ちゃんと食べられる! ちゃんと美味しい!」「お父さんもちゃんと料理出来るんじゃん!」とめちゃくちゃに褒め称えたのですが、父はそれに「だろう?」と満足そうに微笑み、そして二度と作らなくなってしまいました……。

 そんな父が、台湾茶にドはまりしたのです。

 当時、東京方面に出張することの多かった父は、台湾茶を扱っている専門店を足しげく回り、自分の気に入った台湾茶の茶器をひとつひとつ買い集めました。

 ご存じの方も多いと思うのですが、台湾茶は普通の急須でも淹れることは可能ですが、細長い聞香杯(もんこうはい)を使うと、すばらしいお花のような香りを楽しむことが出来ます。香料や、ジャスミンティーのように本物のお花を使っているわけではないのに、あまーい香りを聞くことが出来るのです。

 父は青磁で出来た茶壷(台湾茶用の急須)や聞香杯、茶杯を買い求め、休日になるといそいそと台湾茶を淹れてくれるようになりました。

 お土産の茶葉が切れてしまった後も、日本で台湾茶と銘打たれた茶葉を買って来たのですが、どうもイメージの味と違ったらしく、それ以来、青磁の茶器一式は食器棚の肥やしになってしまったのです。

お父様が使用していた、青磁で出来た茶壺

 それから約10年が経ちまして、今度は娘である私が、急に台湾茶に目覚めました。

 と、言いますのも、執筆のお供にずっと紅茶を飲んで来たのですが(もちろん紅茶も継続して大好きです!)、その紅茶の茶葉をよく買うお店で、台湾茶を扱っているのを見つけたのです。

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