お、懐かしい! と思って気まぐれに買ってみたところ、これが非常に美味しくて、茶葉を実家に持ち込み、帰省の度に父の茶器でお茶を淹れるようになったのでした。
ぶっちゃけ、使っていないなら東京の仕事部屋に青磁の一式を持って来ちゃおうかな~などと思わなくもなかったのですが、両親は両親で久しぶりの台湾茶がお気に召したと見えて、なんとなく借りパク出来る雰囲気ではなくなってしまいました。
よって、しばらく台湾茶は「帰省した際に家族で飲むお茶」のような位置付けだったのですが、ある時、某漫画家さんと中国茶専門店に行く機会に恵まれたのです。茶器を貸して頂き、ほとんどセルフサービスでお茶を淹れるお店です。茶盆(茶器を温めたお湯を捨てたりするお盆)を使うのは初めてだったので、10年前に見た記憶をたどりながらおっかなびっくり淹れたのですが、これが非常に楽しくて美味しくて、「やっぱり自分用のセットを買おう!」と決意するきっかけとなりました。
本当は父のように専門店を回って気に入った茶器を集めたかったのですが、こんなご時世ですし、むやみやたらにお茶屋さん回りをするのも気が引けます。諦めて、通販を利用することにしました。
使えば使うほど味が良くなると聞いた茶壷だけは少し良いのを選び、それ以外は初心者用のつもりで、買いやすいものを選びました。
台湾で見たおねえさんのように、魔法のような優雅な手つきで茶器を操れるようになりたいのですが、今は聞香杯をひっくり返したり熱湯をぶちまけたりしながら、こっそり一人で練習中です。
最近では、寝起きは紅茶、休憩時は台湾茶、寝る前はフルーツティーかハーブティーを飲むのが習慣になりつつあります。
そもそも、ティーバッグだけでなく茶葉も買うようになった契機は、紅茶の淹れ方を教えて下さるイベントに参加したことでした。もちろんティーバッグにはティーバッグの良さがありますが、お茶ってこだわりだすと美味しいだけでなく面白くもありますね!
いつかは、もう一度台湾に行って、本場の茶葉や茶器を買ってみたいものです。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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