初めて一人暮らしする際、母から「お前は絶対に皿を落とすから、全部割れにくいコレールに統一しろ!」と有用なアドバイスをもらいました。その結果、白い陶磁器ワンセットは10年以上現役のままですが、コレールでないお茶碗とコップは何個か代替わりしました。
しかもその当時から、床にはコルク材を敷いています。
部屋に合うようにカットしたりするのは大変ですが、一度やってしまうとすごく楽なのでおすすめです! 寒さ対策にもなりますし、色々落としたりぶちまけたりしても床に傷がつかないので安心出来ます。引き払う際、「まるで業者が入った後みたい」と管理人さんに言ってもらえたほどです。
が! そこまで対策をしても割れる時は割れるのが食器というものです。
最近、続けざまにお気に入りの食器を割って少しばかり傷心しております。
1つ目はポットの蓋です。
茶葉が躍るのが見えるのが気に入り、ちょっとお高めなガラス製のものを買ったのです。つるっと落ちたのを取ろうと手を伸ばしたところ、見事にバウンドし、ホールインワン並みの精度で冷蔵庫と壁に出来たコルク材の隙間に飛び込んで行きました。
「え……わざわざこんな狭いとこに……?」と呆然となりました。
今は醤油皿を蓋の代わりにして使っています。
2つ目は地元で買ったマグカップです。
群馬の陶芸家さんの作だそうで、たっぷりした釉薬の隙間からあえて地の色を覗かせた変わった意匠をしています。雪解けの地面みたいな柄が気に入り、毎日愛用していました。
それなのに、割れました。
今度はちゃんとコルク材の上に落ちたんですが、何故か器用に取手から激突しまして、見事にバラバラになりました。
金継ぎする――という手もありますが、そうすると元値の3倍近くかかってしまうようなので、悩ましいです。でもまあ、バラバラになったのは取手だけなので、今のままでも本体の部分は花瓶に出来るかもしれません。
ミスった時はリカバリーが大事!
これからもそれを胸に刻んで生きて行こうと思います。
追伸
ちょっと聞いて下さい! このコラムの原稿、うっかり保存をミスって一回消滅させてしまいました。よりにもよってこの記事の時にこんなミスする!? 今皆さんがご覧になっている原稿は、お手上げ状態でパソコンごと編集さんのところに持って行き、なんとか復元してもらったものです。ネタ的には美味しいが人としては最低なオチがついてしまった……。自力でリカバリー出来ているのかこれは……? 以後気を付けます……。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
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