Q 毎巻、松崎先生の表現の多様さに圧倒され、感動しっぱなしの読者です! 今回、特に好きなこだわりのページがあればお聞きしたいです!(路近の刀がコマ割り線を担っている表現、素晴らしすぎて震えました……各話内の緩急も最高……そもおはなしが面白い……)
(松崎)ありがとうございます! モノローグやセリフに頼らずいかに絵で表現するかをいつも苦心していて、中でも登場人物の表情は全話通して最も力を入れています。24話ラストの複雑な表情をした雪哉は何度も描き直しました。また、対比の表現が好きなので、同じく24話の敦房と返り血でベロベロの路近が対峙する足元のコマはうまく話の流れにはまってくれてよかったです。でも仰るとおり、原作小説に全部書いてあることがおもしろくて、想像力を掻き立てられるからこそなので鬼悪魔阿部智里様々です。
(阿部)いや、何度だって言うけど、原作をそのまま漫画化しても面白い漫画にはならないですからね! 漫画を読んで面白いと思ってくれたなら、それは「漫画化」の技術それ自体がスゴイというのが一番なんですよ。漫画という媒体特有のコマ割りや演出とか、エンタメとしての見せ方とでもいうのかな。これは私も毎度ほれぼれしております。
Q Today's市柳コーデはどうやって考えているんですか?
(松崎)月一で行く美容室でメンズのファッション誌を参考にしています。
(阿部)あれ大好き。「覚悟の縦裂き」ってなんやねん。これからも続けてください。
(松崎)分かりました(笑)。
(阿部)私のほうからも設定的な話をひとつ! スペースでも言いましたし、今度出す短編「きらをきそう」(5月20日発売予定「オール讀物」6月号に掲載)でもちょっと出しましたけど、山内でファッション誌に相当するのは綺羅絵(※外界でいう浮世絵みたいなもの)なんですよね。中央で印刷された、中央の流行りを反映した綺羅絵。それが地方にも流れて来るので、市柳少年も目を皿のようにしてそれを見て勉強し、超解釈していったのだと思います。勉強家~!
Q 初版限定のSSペーパーについて、本屋さんで売られている時の状態だとコミックとペーパーがセットになってビニール包装されていますが、このビニールに貼られているバーコードのシールで、イラストの一部が絶妙な加減で隠れるようになってるのは狙ってやってるんですか?
(松崎)1巻の時は意識してなかったんだけど、2巻の時にちょうど隠れるな! って気付いて、3巻は完全に狙って描きました(笑)。
(阿部)リアルタイムで紙の新刊を買って下さった方ならではの楽しみだ(笑)。
(松崎)そう言えば3巻のオマケって、実は『烏は主を選ばない』連載決定時のキービジュアルもうっすら意識してるんだよね。
(阿部)え!? あ、本当だ! ろこたんのインパクト強すぎて気付かなかった!
(松崎)澄尾はいないけど(笑)。
(阿部)アイツ、あの店の駐車場に停めた奈月彦用の車の中で寝てたんじゃない? 熟睡してて呼び出しに気付かなかったから雪哉が召喚されたんだよ、きっと。
Q 後続の八咫烏シリーズも絶対松崎先生に描いていただきたいのですが要望の送り先は先生のツイートにあるイブニングさんの感想フォームからでよろしいんでしょうか…!? 感想と一緒に送ってもイブニングさんの偉い人チェックしてくれますか?
(松崎)ありがとうございます! イブニングの感想フォームで大丈夫です! そして「面白い!」って思ったら、周囲の方にもおすすめしてくれると嬉しいです!
(阿部)皆さん、いつも応援頂いて本当にありがとうございます! 私も続きが読みたいです……! 是非八咫烏シリーズコミカライズを、これからもよろしくお願いいたします!
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc