――と、思って約1か月が経つのですが、早くもすでに2回ほど器をひっくり返し、水を部屋中にぶちまけ、バジルをべしょっと床に落としてしまっております。
いや……十分予見出来たことなんですけどね……。
第52回で「私は粗忽者です」と面白おかしく語ったばかりですが、この間、第51回で購入報告した台湾茶セットの茶壺と、聞香杯を割ってしまいました。茶壺は取手が取れ、聞香杯は二つともふちを欠いてしまったのです。
誓って申し上げますが、ネタになると思ってわざとやったわけでも、茶器を粗略に扱ったつもりもありません! ただうっかり手を滑らせた結果、茶盆の上で茶壺を猛烈にスピンさせてしまい、ボーリングのピンのように聞香杯が吹っ飛んで行ったのです。
正直、自分でもなんであんなことになったのかよく分かっていませんし、もし再現してみろと言われても二度と出来ないレベルのスピンでした。あまりの惨状に、流石にちょっと呆然となりましたね。気に入って買った茶器なので、ショックです……。
熱湯を扱うものなのでボンドで接着するのも心もとなく、結局、茶壺も聞香杯も以前より少し良いものを買い直しました。それによって、「今度は絶対に割るものか!」という意識を強く持つ方向性でやっていくつもりです。まあ、床にコルク材を敷くなど、他に対策を取った上でのアレでしたので、ぶっちゃけそれ以外にやりようがないんですよね。慌てていたわけでも、何か手順を横着しようとしていたわけでもありませんし。
トラブルに負けず、強い心を持ち、台湾茶はこれからもずっと楽しんでいこうと思います!
閑話休題。
とにかく、こんなド不器用な人間の元にやってきてしまったバジルちゃんは不運だったとしか言いようがありません。もしバジルに心があるなら、「やめろ、それ以上近付くな! 今度は何をするつもりだ!」と戦々恐々としていると思いますが、肥料をやれる人間は私しかいないので覚悟を決めてもらうほかありません。
私の不器用にへこたれず、頑張るバジルの生命の輝きを、これからも楽しみに見守り続けたいと思います!
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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