中之条ビエンナーレは、空間そのものをアートとした作品が多くて、間違っても「これを買うとしたら」という想定は出来ません。その分、まるで異世界に入り込んでしまったような、没入感を覚えました。ちょっと気取った言い方ですが、作品を全身で体感する、という言い方が出来るかもしれません。
私が行った日は晴れており、外の光を作品に取り込むような作品が大変魅力的に感じられました。かと思えば、暗闇だからこその表現がされた作品があり、野外には里山の風景を利用した作品があり……。会場ごとのコンセプトを感じたりもして、次は何を見せてくれるんだろう、あっちには何があるんだろう、と終始わくわくしっぱなしでした。
何と言うか、私には意味が読み取れなかったり、怖かったり、ぞっとしたりする作品もあるのですが、そういう感覚を得ること自体がとても新鮮で、そう感じたこと自体に意味があるのかな、などと思いました。
ひとつひとつの作品にアーティストが意味を込めており、最初は説明文を一生懸命読んでいたのですが、途中からは「いや、作品見て自分が感じたことのほうが大事かも」と思って読むのを止めてしまいました。
私にとっては「勉強」としてではなく、「楽しみ」として自身の糧となった体験でした。
中之条ビエンナーレ2021には特設サイトがあり、ネット上で作品を楽しめるようにもなっているそうです。興味をひかれたけど、中之条まで行くのは難しいなぁという方がいらっしゃいましたら、是非こちら「中之条ビエンナーレ2021オンライン」からお楽しみ下さい!
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。
【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc
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