まあそんなこんなで、私の膝は長い熟成期間を経て順調に悪化の一途を辿っていたわけで、全身麻酔の手術と1か月の入院を余儀なくされたのです。

 そして最悪なことに、その日程が原稿の〆切とがっつり被っちゃったんですよね!!!

 本来だったらその頃には校了しているはずだったので、全ては〆切を破った私の自業自得です。自業自得の私に慈悲はありませんが、あおりを喰らった担当編集さんには、本当に申し訳ないことをしました……。

 しかも、コロナ対策で入院中は面会謝絶だったのです。

 もともと日程はギリギリだったのに、このままだと原稿の受け渡しも間に合わない。この状況でどうやって『追憶の烏』は本になったのか!?

 ――次回、周囲をさらに阿鼻叫喚に陥れる私の大ポカが明らかに!

阿部さん直筆の再現イラスト②

©阿部智里

阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。「八咫烏シリーズ」最新刊『追憶の烏』発売中。

【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc